全10組が共演するAWA発の新時代ライブ『AWA NEXT STAGE LIVE vol.1』レポート

 定額制音楽ストリーミングサービス「AWA」主催によるバーチャルアーティストのリアルライブ『AWA NEXT STAGE LIVE vol.1』を、2024年5月12日(日)に秋葉原エンタスで開催。AWA NEXT STAGE LIVEは、AWAの音声配信サービス「AWAラウンジ」内の番組『アワステ』のサブMCを務める式部めぐり、そして番組に出演したえのぐ、キョンシーのCiちゃん、ChumuNote、焔魔るり、松永依織に加え、リアルライブ出演権争奪イベントを勝ち抜いた夜葩-yohira-、EMUNEKO、響星ライカ、言ノ葉みくろ、計10組のアーティストが共演した。カバー曲やオリジナル曲、ライブ初披露の曲、そして多種多様なジャンルが飛び交った記念すべき第1回目の『AWA NEXT STAGE LIVE vol.1』の様子をお届けする。


夜葩-yohira-

AWA NEXT STAGE LIVEのトップバッターを務めたのは、歌枠メインの配信で人気を集めるVライバーの夜葩-yohira-。軽く自己紹介を開幕に済ませると、さっそく1曲目の「春を待つ (feat. 倚水)」を披露。歌いだしの透き通るような歌声がAWA NEXT STAGE LIVEの始まり合図となり、一瞬にして秋葉原エンタスを包み込んだ。サビに入ると、破裂してしまいそうな高音の絶妙な旋律がフロア内に響き渡り、輝かしい多彩なペンライトがつられるように上下に動いていく。そして1曲目が終わると、間髪入れずにヨルシカの「晴る」が始まる。ライブを通して自分の声色にマッチした選曲が光っており、自身の世界観を歌を通して構築していく。「ライブ楽しいですね!」と途中のMCで語っていた姿が印象的で、緊張しながらも楽しむことを意識しているのが伝わる瞬間だった。ラストスパートにかけては、「私を象徴する2曲を選んできました」と宣言し、「unravel」と「ラプンツェル」を披露。2曲ともこれまで以上に感情的で自身が持つ表現力を最大限に生かすようなパフォーマンスが展開された。特に最後の「ラプンツェル」は、フロアとの一体感が印象的で、バラード楽曲ではあるものの、がむしゃらで楽しむことを全開に意識したような歌声が鳴り響いていた。

<セットリスト>
1. 春を待つ
2. 晴る
3. unravel
4. ラプンツェル


EMUNEKO

続いては、AWA公認配信者として活動しているEMUNEKOが登場した。開幕と同時に3rdシングル「scione」を披露し、爆音のダンスミュージックとエンジン全開のパフォーマンスで容赦なく会場を揺らした。オーディエンスも負けじと、フロアからは大きな掛け声が鳴り響き、リズムに合わせて手拍子も巻き起こる。1曲目が終わると、自己紹介を含めたMCが始まり、さながら配信のような軽快なトークでエンタス内をロックする。この日全てオリジナル楽曲でのセットリストとなっており、さっそく4thシングルである「CAT GIRL」を披露。ジャジーな雰囲気をベースに重めのビート、そこにEMUNEKOの可憐な歌声が絶妙に噛み合わさった楽曲だった。妖艶なライトが飛び交う映像が音楽のイメージを可視化させていき、フロアも加速するように飛び上がるように音に乗っていく。「CAT GIRL」が終わると、また雰囲気をガラッと変えるような楽曲「ねこ涅槃」が披露された。癖になるようなリズム感とメロディ、そして歌詞やフローが特徴的で、まさにEMUNEKOらしい楽曲となっている。そして「こだわりにこだわりぬいた1曲」と語っていた初のオリジナル楽曲「nia」を披露。これまでとは打って変わって、楽曲も歌唱も格好良さが目立つ曲となっており、フロアの雰囲気もガラッと変化した。最後は「EMUNEKOからのみんなへたくさんの愛をこめて」という言葉とともに5枚目のオリジナル楽曲「Melty Lip」を披露。ポップな楽曲がフロア中に鳴り響き、オーディエンスとのユニゾンが巻き起こる素敵な空間が形成されていた。

<セットリスト>
1. scione
2. CAT GIRL
3. ねこ涅槃
4. nia
5. Melty Lip


響星ライカ

完全に温まったAWA NEXT STAGE LIVEの3番目に登場したのは響星ライカ。最初に軽くMCを挟んだ後、YOASOBIの「アイドル」を披露し、いきなりフロアを沸かせた。暴れまわるようにリズムに合わせてペンライトを振ったり、全快のコールが鳴り響くなか、響星ライカもそんなオーディエンスに負けじと力強い歌声で対抗していく。そこから「サインはB」を続けて披露し、今度は可愛らしい、さながらアイドルのような歌唱が展開された。「うりゃ!おい!」と響星ライカ自らが煽りを入れていき、それにオーディエンスは全力で応えていく。続けて宝鐘マリンの「美少女無罪♡パイレーツ」、星街すいせいの「ビビデバ」を披露。アッパーなアンセムが怒涛のように展開されていく様子を見て、まさに全身全霊をこのライブにぶつけているんだなというのを感じた。「普段はAdoさんの曲ばっかり歌ってるんですよ」というMCの流れから、Adoの「唱」が続けて披露された。MCは短めにとにかく歌うことを重点的に置いたライブ構成で、なおかつアッパーな楽曲で容赦なくフロアを沸かす流れとなっていた。そして最後はこの日1番歌いたかった曲と語っていた「unravel」を披露。難易度の高い楽曲ではあるが、生歌でなんなく歌いこなす姿は圧巻で、歌唱力の高さだけではなく、楽曲への愛を感じさせるパフォーマンスだった。自分自身も楽しんで、なおかつ見てくれている人を楽しませようという意気込みが終始感じられる時間だった。

<セットリスト>
1.アイドル
2.サインはB
3.美少女無罪♡パイレーツ
4. ビビデバ
5.唱
6.unravel


言ノ葉みくろ

リアルライブ出演権争奪イベントの出演者から最後に登場したのは、Vsingerとしてマルチな活動を続けている言ノ葉みくろ。開幕「楽しんでいきましょう!」という掛け声から「ふわふわ時間」が流れると、大声援がフロアで巻き起こった。カラフルなペンライトが手拍子とともに揺れ動く光景は圧巻で、1曲目からオーディエンスのボルテージを最高潮まで持っていく。そのまま2曲目は、言ノ葉みくろの優しい歌声にマッチした「メランコリック」が披露され、癒しの空間が広がった。MCでは、自己紹介を挟みながら緊張を感じさせない立ち振る舞いでフロアを盛り上げている姿が印象的だった。そして、バラード曲「アイロニ」を披露。優しい歌声をベースに、感情を込めたメリハリのある歌唱でオーディエンスの心情を震わせていく。続けて「気まぐれメルシィ」で心機一転、八王子Pのダンスナンバーでフロアを一気に盛り上げていく。20分ほどのショーケースの中で、多種多様なジャンルの音楽を歌いこなす姿を見て、色んな音楽が好きで、これまで数多く歌ってきたんだろうなと感じてしまう。最後はオリジナル楽曲「ハートに、サイダー」を披露。軽快なポップソングで、まさに言ノ葉みくろらしい緩やかでキャッチーなオリジナル楽曲となっている。終盤のサビではオーディエンスとのユニゾンも起こり、一体感のある空間が広がっていた。

<セットリスト>
1. ふわふわ時間
2. メランコリック
3. アイロニ
4. 気まぐれメルシィ
5. ハートに、サイダー


えのぐ(鈴木あんず、白藤環、日向奈央)

AWA NEXT STAGE LIVE前半戦最後に登場したのは、VRアイドルとして数多くのライブやアンセムを生み出してきたえのぐの鈴木あんず、白藤環、日向奈央の3人。本人たちが登場する前から、待ちわびたオーディエンスたちの熱気がひしひしと伝わってくるのが印象的だった。そしていよいよえのぐが登場。ライブのスタートを飾ったのは「Armor Break」。3人の力強い歌声と息の合ったダンスが怒涛のように襲い掛かる。曲中のコール&レスポンスと迫力あるパフォーマンスで、この日初めてえのぐのライブを見た人でも一気に惹き込まれたに違いない。続いて披露した「とぶらぶっ!!!」は、えのぐの楽曲の中でも屈指のアッパーソング。ライブ映えは抜群だ。そして間髪入れずに「またね、って言うよ」が続く。アイドルらしいエモーショナルなバンドサウンド、そしてアイドルらしい振り付けでえのぐらしいパフォーマンスが展開されていく。そのまま「NoReason」に続いていき、落ち着いた雰囲気でまた違った世界を演出する。限られたセトリの中でしっかりと緩急をつけていくのはさすがとしか言いようがない。そしてえのぐの最後を飾ったのは「僕色インフィニティ」。再びアイドルらしい楽曲で、一気に空気を引き込んでいく。オーディエンスも力をふり絞って全力で腕を振り上げる。絶妙なタイミングで煽りを入れていき、聴かせるところはしっかりと聴かせるパフォーマンスはまさにえのぐらしいライブだった。

<セットリスト>
1. Armor Break
2. とぶらぶっ!!!
3. またね、って言うよ
4. NoReason
5. 僕色インフィニティ


焔魔るり

10組という大所帯のAWA NEXT STAGE LIVEも一瞬で後半戦へ突入。後半戦のスタートを切ったのはRK Music ライブユニオン所属の焔魔るり。開幕から妖艶なダンスミュージック「Dreaming In The Night」を堂々と歌いこなし、すかさずフロアをロックしていく。続けて「white spell」を披露。クラブミュージックが続いていき、フロアも音に合わせて軽快に体を揺らしていく。先ほどまでアイドルの会場だったのが、たった数分でいつのまにかクラブへと変貌を遂げていた。この多種多様なジャンルのアーティストたちが並ぶのがAWA NEXT STAGE LIVEの醍醐味でもあるだろう。ピンクのペンライトがフロアを覆いつくす光景が広がる中、続けてロックナンバーの「カメレオンアクター」を披露。今度はフロアがライブハウスへと様変わりし、ペンライトが一斉に振り上げられていく。激しいサウンドの中にキャッチーなメロディが特徴的な楽曲を力強くも可憐に歌いこなしていく。そして続けざまに「その刹那、焔につき。」が流れ出し、これぞ焔魔るりの真骨頂ともいえる独創的な世界観を表現した楽曲が姿を見せていた。トークの時の茶目っ気ある可愛らしい雰囲気からのギャップがとにかく凄まじい。「その刹那、焔につき。」の世界観を継承するかのように最後の楽曲「Last beat」が披露された。曲の展開もそうだが、サビのインパクトが強烈で、一気に楽曲の世界へと引き込まれてしまう。自身の強みを生かしたパフォーマンスがとにかく光るショーケースだった。

<セットリスト>
1.Dreaming In The Night
2.white spell
3.カメレオンアクター
4.その刹那、焔につき。
5.Last beat


ChumuNote

開幕MCからスタートしたChumuNoteは、すでに温まったフロアの熱気に驚いた様子だった。自己紹介を丁寧にこなした後は、1stシングル「BlueSunnyFish」でライブがスタート。フロアが暗転したのと同時に、青のペンライトが存在感を現す。キャッチーなダンスナンバーの「BlueSunnyFish」に合わせて、ペンライトが激しく暴れ回っていた。続いてはオーイシマサヨシの「死んだ!」を披露。ChumuNoteの大人っぽい歌声が絶妙にマッチしたカバーで、カラフルな映像演出と曲の相性も抜群だった。そしてライブ初披露となった「Star of the Deep」を披露。ゆったりとした曲調で、ChumuNoteの歌声がより魅力的に発揮された楽曲となっている。最後は「Swimmy」「DANCE is the answer」を立て続けに披露。キャッチーなダンスミュージックの応酬にフロアのテンションも上がっていく。アップテンポな楽曲でも器用にパワフルに歌い上げる姿は圧巻で、オーディエンスも負けじとペンライトを振り上げる。特に最後の「DANCE is the answer」は、人気曲ということもあって、終始歓声は鳴りやまなかった。我慢できずに飛び跳ねながらペンライトを振るフロアとは相反して、静かにそして丁寧に歌い上げていくChumuNoteの姿が印象的だった。

<セットリスト>
1. BlueSunnyFish
2. 死んだ!
3. Star of the Deep
4. Swimmy
5. DANCE is the answer


キョンシーのCiちゃん

続いて登場したのは、音楽をメインにマルチな活動を見せるキョンシーのCiちゃん。開幕「New Creation」で抜群の歌唱力を披露し、存在感を出していく。Ciちゃんらしいエッジの効いたパワフルな歌声で一気にフロアをロック。歌声に限らず、大きな動きで躍動感あるステージングも魅力的で、ステージ上を最大限まで動き回っていた。とにかく見ているだけで迫力満点のライブを体感できるのはCiちゃんらしいライブといえるだろう。そしてMCでは持ち前の元気さをフルに生かしたトークが光る。MCを通してオーディエンスとのコミュニケーションが本当に巧みで、音楽に限らずMC部分でも一体感を生み出していく。「クールダウンしましょう」と呼びかけ、続けて「Only You」を披露。ゆったりとしたシティポップな雰囲気も漂うナンバーを歌いこなし、「この曲をエンタスでやるのをずっと夢に見てました!」と語っていた「わからせCiちゃん」が豪快にスタート。コール&レスポンスが怒涛のように巻き起こり、ライブで絶対的な力を発揮する楽曲だ。全オーディエンスを巻き込んだ一体感が生まれていた。そして最後は、Ciちゃんがソロになって初めてリリースしたオリジナル楽曲「Through the light」を披露。「手振って!」とサビで一斉にペンライトが左右に揺れる光景がとにかく綺麗で、Ciちゃんのライブショーケースはこれで幕を閉じた。

<セットリスト>
1. New Creation
2. Only You
3. わからせCiちゃん
4. Through the light


式部めぐり

AWA NEXT STAGE LIVEも終盤戦。続いて登場したのは、AWAラウンジの公式番組「アワステ」でサブMCも務める式部めぐり。開幕「Normal Lady」は、歌声にマッチした可憐なエレクトロポップで、ピンクのペンライトが左右に揺れ動く。そして間髪入れずに「mrmr」がスタート。緩やかでおしゃれな雰囲気の楽曲と式部めぐりの歌声のシナジーが高く、オーディエンスは自由にリズムを刻んでいく。MCを挟んだあとは、2nd EP収録の「moonlight dream」を披露。夜を基調としたダンスナンバーで、ノリの良さもありながらどこか落ち着くような不思議な感覚になれる楽曲だ。ライブで聴くと、ダイナミックさが強調されてより没入感に浸ることができた。そして不思議な感覚と言ったら続けて披露した「じゅうはちみり」も負けてはいないだろう。独特で一度聴くと癖になるフロウとメロディが特徴的な楽曲で、式部めぐりの表現として新たな扉を開いたという印象を持った人も少なくはないだろう。そして最後は「フロアで盛り上がりたい楽曲」と紹介していた「NONFICTION」でライブを締め括る。フロアで盛り上がりたいという気持ちに応えるように、オーディエンスのみんなが全力で手を振って声援を送っていた。

<セットリスト>
1. Normal Lady
2. mrmr
3. moonlight dream
4. じゅうはちみり
5. NONFICTION


松永依織

記念すべき第1回目のAWA NEXT STAGE LIVEのトリを務めたのは、RIOT MUSICのBlitz Wingに所属するVSingerの松永依織。開幕「Awaken Now」からシンガーとしてのポテンシャルを最高級に発揮していく。力強い歌声と緩急ある透き通る歌声が容赦なくフロア内をこだまする。そのまま「我儘コンフリクト」でロックナンバーを立て続けに披露し、オーディエンスに休む暇を与えない。それでも長丁場のイベントの中でも、終盤とは思えないほどの熱気と声援で松永依織のパフォーマンスにオーディエンスも応えていく。続いてはバラードナンバーの「永遠の場所」を披露。ロックでアッパーな楽曲のイメージを持つ人も多いとは思うが、バラードは松永依織の歌唱力の高さを存分に味わうことができる。さっきまでとは打って変わって、圧倒されたかのように静かに聴き入るようにペンライトを振るオーディエンスの姿が印象深かった。そしてAWA NEXT STAGE LIVEの最後を飾ったのは「プリズムシェイク」。楽曲の雰囲気も相まって、クライマックス感が溢れていた。ペンライトを好きな色にというMCに応え、フロアはカラフルなペンライトが埋め尽くす。ライブ終盤特有の名残惜しさを演出するかのようにペンライトが左右にリズミカルに揺れ動く光景が広がっており、フロア全体の一体感も最高潮に達していた。

<セットリスト>
1. Awaken Now
2. 我儘コンフリクト
3. 永遠の場所
4. プリズムシェイク


10組のアーティストが躍動する『AWA NEXT STAGE LIVE vol.1』は大盛況のうちに幕を閉じた。ジャンルや界隈、活動形態が異なるアーティストが一堂に会し、これだけの規模で共演するイベントはそう多くはない。各々のファンの熱量の高さ、純粋に音楽ライブを楽しもうとする姿勢も感じられ、さらには新たな推しを見つける場としても絶好の機会となっている。そんな「AWA NEXT STAGE LIVE」だが、イベント終盤では第2回開催の発表も行われ、今度はどんなアーティストが出演し、共演が果たされるのか、次回はどんな景色を見せてくれるのか、これからも「AWA NEXT STAGE LIVE」の動きに注目していきたい。

取材&文:森山ド・ロ

Get App

初めて利用する方は
無料お試し期間があります