KOJOEがAWAでプレイリスト『この夏聴いた曲』を公開。「2nd Childhoodは、いずれ使いたいタイトルとしてメモってた」

KOJOE(コージョー)がAWAで選曲したプレイリスト『この夏聴いた曲』を公開した。

KOJOEは新潟生まれ、NYクイーンズ育ちのヒップホップシーンで圧倒的な支持を受けつつも、インディペンデントなスタイルで活動を続けているラッパー。2007年、NYの名門ヒップホップ・レーベル RAWKUS RECORDSに日本人として初めて契約し、2009年に帰国後、英語と日本語のミックス、ラップと歌の二刀を使い分けた高いスキルを武器に多くのアーティストと共演。 近年では、Olive OilやAaron Choulaiなどのビートメイカーたちとのコラボ作をリリースし、去年の11月に多くの客演陣を招き、プロデューサーとしての力を世に示したアルバム「here」をリリースし、大きな話題となった。そのわずか9ヶ月後にニューアルバム「2nd Childhood」をリリース。今回、このアルバムについてなどの話を聞いた。

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- 前作「here」から、わずか9ヶ月でアルバム「2nd Childhood」をリリースした経緯を教えてください。

KOJOE - 「here」のリリパが4月に終わって、何しようかなって思って。それで6月くらいからEPを作るつもりで気楽に始めたんですけど、気づいたらアルバムになっちゃってた感じですね。前作「here」では客演が多かったから、今回のはシンプルに感じる人がいるかもしれないけど、実際は裏声で歌ってたり、ゴリゴリのラップしたり、スローにラップしたり、レゲエだったり、自分の中でキャラが7、8人いる。俺の中では全くシンプルではないんですよ。

-「2nd Childhood」というタイトルはどのように決めたのですか?

KOJOE - メモ帳にアルバムタイトルっていうのがあって、10年以上前からコンセプト思いつくと書いてるんですよ。全然使えないのばっかなんだけど、もう何百個ってタイトルがたまってて。その中で“2nd Childhood”は、いずれ使いたいタイトルとしてメモってたんです。NASが“2nd Childhood”って曲を出したときに、これ良いなって。そのうち、そのコンセプトでやってみたいなって思ってて、そのタイミングが今だなって感じでした。

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-「2nd Childhood」のコンセプトは、アルバムの楽曲とどう関係しているのですか?

KOJOE - 「2nd Childhood」のコンセプトは、最初の2曲と最後の2曲でサンドイッチしてますね。最初の曲“inori”は世界全体で言えることっていうか、誰にも言えることだと思ってて。「あーもう嫌だな、あそこの家に生まれたかった」って思う人や、嫌なことがあると「生まれ変われたら良いのになあ」って軽く考えることってあるじゃないですか。そういう頭の中で考えたことを音にしたら、あんな感じかなって。だから、ちょっとボロいレコーダーで録ったような感じにしたんですよ。俺自身もワンテイクで録って。女性のゴスペルふたりにも入ってもらったんですけど、そのうちのひとりのMayumiは「here」の1曲目“KING SONG”でも歌ってもらってます。そこから2曲目の“Sacrifice Pt.1”に入っていく。“Sacrifice Pt.1”は、例えば日曜日のすごい風が気持ち良いような日に山とか田舎の裏庭とかで椅子に座って考えていたら、ふと寝ちゃって。そしたら悪というか闇が「生まれ変わりたいってどういうことか分かってんのか」って出てきて、生まれ変わるってことはまず自分自身が死ななきゃいけないから、人間の持ってる無駄なものや欲をバースで殺して、子どもに戻していく。そこからフリップして8曲あって、それが終わったらコンセプトをセットアップしてる。だから、間の曲はあまり関係ないんですよね。けど、その間の曲のマインドは第二の青春を楽しんでる自分が自由に作ってる曲たち。前回のアルバムの曲“BoSS RuN DeM”とかでラガみたいなことにも初トライしたのが、結構うまくいって。今までレゲエとかを表現方法としてアウトプットしようとは思ったことなかったんだけど。今回はもう2周目だから、子どもが自由にかっこいいなって思ったものを、なんでも手つけちゃうみたいな感じのマインドで間の曲は作りました。楽曲のコンセプトは雰囲気や空気感で表現したかったんです。自由に曲を作って、ふと忘れたときに“Sacrifice Pt.2”で悪が戻ってくる。そいつを殺して、最後の曲“2nd Childhood”ですね。この曲は子どもの目線というか、子どもって「なんで?」とかすぐ聞くじゃないですか。そういうフラットなマインドで歌詞を書きました。子どもの頃に思ってたことっていうより、今の俺の状態で、子どものようなフリーなマインドで。“2nd Childhood”って言葉が第二の思春期、第二の青春みたいな。子どもに返っちゃってるようなイメージがあったんで、忠実に曲にしてみたらどうなるかなって感じで作りました。今回のアルバム自体は良い気持ちになれたらなって思ったんで、考えるというより、どんな状況でもこれ聴いて解き放たれるというか。気持ちが温かくなったりとか、辛いことがあったりするんだったら、自分次第で楽しくなれる。そういう気持ちで作りましたね。

- なるほど。今回、参加しているビートメイカーの方とは実際にどのようなやりとりをして曲を作ったのですか?

KOJOE - illmoreは俺にビートをよく送ってくれるんで、彼のビートはいつも聴いてるんですよ。“Whateva”のビートがすげえ新しくて、かっけえってなって使いました。NARISKは福岡のやつで、Oliveくん(Olive Oil)に紹介してもらったんですよ。アルバム「here」のアカペラを3曲送ったら、すぐにリミックスを送ってくれて。けど、俺の中でリミックスは違ったんだけど、ビートがすげえかっこ良かったんですよ。送ってくれたときに、その3曲のインストのビートもあったから、俺が新しい曲として、その中の1曲をリミックスして使ったんです。それがアルバムの中の“24”。だから、リミックスしてくれたのをリミックスして送り返すっていう(笑)。そこから始まった感じですね。「EP作るからビートをもっと送ってよ」ってNARISKに言って。雰囲気や空気感は伝えたら、その上をいくアンサーをしてくるんですよ。そういうセッションをして、8曲くらいビートを作ってくれて。NARISKがいなかったら、EPになってたんじゃないですかね。どんどん送ってくれて、かっけえじゃんってなって俺もすぐ作りました。アルバムに仕上がったのはNARISKのおかげですね。CHAKIさん(CHAKI ZULU)とは“BoSS RuN DeM”でAwichとやってから、どっかで曲作りたいねって話をしてて。今回やっと“OH S**T”で叶いました。Devin(Devin Morrison)はLA行っちゃう直前、何個かビートを渡してくれたんですよ。その中に最後の曲“2nd Childhood”のビートがあって。80sっぽい音でやべえってなりましたね。このアルバムでは新しいビートに結構トライしてたから、最後の曲は懐かしいクイーンズな感じのビートで終わらせましたね。


- 今回、KOJOEさんは“6秒ルール feat. 5lack”、 “WARnin’ feat. 仙人掌 & RUDEBWOY FACE”、“Church”の3曲でがっつりビートメイカーとして参加されてますよね。

KOJOE - 5lackとは、6年前とかに会ってて、それからの付き合いっすね。そのときからフィーチャリングで誘ってくれてて。関係が密になったのは、ここ4、5年かな。“6秒ルール”はチャラいやつね(笑)。夏の終わりに夏みたいな。作ってて気持ち良かった。5lackのバースが超良いし。仙人掌は前作「here」でやりたかったんですけど、ここでやるのはもったいないって思ったんですよ。仙人掌カードは取っときたかった。過去に仙人掌との曲をやるはずだったんですけど、タイミングじゃないなって思って、お蔵入りになったこととかはありますね。俺、日本に帰ってきたら、ミックステープやアルバムを毎年出してて。アルバムに15曲入ってるとしたら、それに対して40曲くらい作ってあるんですよ。アルバム以上の曲が毎年できてるけど、タイミングとかで全部は出せなくて。作った年に出さないと、出す気がなくなっちゃうっていうのもありますね。今回の曲はRUDEBWOY(RUDEBWOY FACE)にも入ってもらって。RUDEBWOYとは“BoSS RuN DeM”のリミックスをやってからの付き合いですね。仙人掌とRUDEBWOYはありそうでなかったから、一緒にしたかった。ゴリゴリのNYっぽいヒップホップでダーティーなやつって今までないと思ったんです。ブーンバップだけど古くない感じ。“Church”はめっちゃ頑張りました。ヤオヤの鳴らし方をギリギリのとこまで、バインバインに鳴らせて、トラップソウル的な感じにしました。リズムはブレイクビーツなんですけど、だいたいトラップが似合う音っていうかリズムで使う、スネアだったりドラムだったりとか。みんなやってるようでやってない。古いブレイクビーツで、トラップのリズムを刻んだりとか。それがうまくいった感じですね。

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- 前作「here」をリリースしてから、ライブでの客層とか変わったりしました?

今回のは7枚目とかなんですけど、たまに「here」が1stアルバムで、「2nd Childhood」を2ndアルバムって言われることがあるんですよ。もうかなりのベテランなのに、この新人感(笑)。けど、リセットされてるのは珍しいですよね。客層はOliveくんとAaron(Aaron Choulai)のプロジェクトやってるときとは違いますよね。そのときからフォローしてくれてるお客さんはもちろん来てくれるんだけど、年齢層がぐんと「here」で若くなった感じがします。人間のイメージや、受け取り側のイメージで簡単に変わるってわけじゃないけど、作品1枚やPVですごい変わるんだなって。すげえ、おもしれえなって思いますね。


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Credits

Text:Toru Miyamoto

Photo:Toru Miyamoto