リミックス作品『GEMINI:Flip Couture #1』をリリースしたWONKがプレイリストを公開。「ストリーミングサービスが出てきて、話題を持続させることが重要になってくる」

WONK(ウォンク)が先月の5月末にリミックス作品『GEMINI:Flip Couture #1』をリリースし、メンバー全員で選曲したプレイリスト『週末、仕事終わりの夜に聴きたい by WONK』を公開した。

WONKは東京を拠点に活動しているバンドで、メンバーは長塚健斗(vo)、江﨑文武(key)、井上幹(b)、荒田洸(ds)の4人。ジャズやソウル、ヒップホップの要素をクロスオーバーした彼らのスタイルはエクスペリメンタル・ソウルと呼ばれている。日本のフェスはもちろん、海外公演を行なっているWONKの音楽は“世界水準のサウンド”と絶賛を受けるほど。今回、リリースした『GEMINI:Flip Couture #1』は、2017年9月に同日リリースされた2ndアルバム「Castor」「Pollux」の2作品が、シーンを賑わすビートメイカーたちの手により再構築された作品らしい。今日はメンバー全員が揃うはずだったが、荒田だけ寝坊のため不在(笑)。長塚、江﨑、井上の3人にリミックス作品『GEMINI:Flip Couture #1』やプレイリスト『週末、仕事終わりの夜に聴きたい by WONK』、音楽ストリーミングサービスなどの話を聞いた。リミックス作品をリリースする経緯はなんだったのか。

wonk_5.jpg

江﨑写真:右)「僕らのレーベルepistrophにヒップホップのビートメイカー、dhrmaさんやBallheadさんがいるんですよ。レーベルとして、日本にビートメイカーのカルチャーを根付かせていきたいっていう思いがあって。そうなったとき、WONKの作品をレーベル所属のビートメイカーにリミックスしてもらえば、世の中の目に触れてもらえるきっかけになるんじゃないかってことで作りましたね」


 

井上写真:左)「今回、参加してもらったビートメイカーの方に、WONKの曲でどれをリミックスしたいか聞いて、全部お任せしましたね。僕らがリミックスしてもらいたい楽曲を選んだわけじゃないんですよ。だから、曲のかぶりもあったりしました」


 

長塚(写真:中央)「LidlyさんとSpinnaさんのリミックスした楽曲がかぶったよね。けど、アウトプットが全然違うから、それもおもしろいなって。10曲目の『SMALL THINGS』だけは、このアルバムのために作った楽曲ですね」

リミックス作品『GEMINI:Flip Couture #1』には、WONKと同じレーベルepistrophからBallheadとdhrmaの両名や、Cram、Lidlyといった所縁のあるビートメイカー、過去にマイケル・ジャクソンやスティービー・ワンダーのプロデュースを務めていたNYを代表するDJ/プロデューサーのDJ Spinnaが参加。ヒップホップのビートメイカーたちによって再構築されたWONKの楽曲は、新たな作品としての仕上がっている。そして、過去にKANDYTOWNのDianや赤土のRITTOと共演をしているWONKは、やはりヒップホップとの相性が良い。

 

江﨑「WONKのコンセプトは、J・ディラのビートを生バンドで表現することなんです。これはWONK結成のときに、寝坊して来てないドラムの荒田が言い出したことで(笑)。だから、根底にはヒップホップマナーみたいなのがあるから、相性が良いのかもしれないです。けど、僕と長塚はWONK結成前、ヒップホップをあまり聴いてなくて。僕はジャズとクラシックしか聴いてなかったですね。大きい音の音楽怖いなって思ってたんで(笑)」

 

長塚「ヒップホップはエミネムくらいしか聴いたことなかったですね。メタルやロックばかり聴いてました」

 

参加しているビートメイカーの選定はどうやって決めたのか。
 

井上「dhrmaさんとBallheadさんは同じレーベルで、他のビートメイカーは今寝てる荒田のチョイスですね」

 

江﨑「CramさんとLidlyさんは、去年の10月末にジャズレーベルのBlue Noteとepistrophが出した、ジャズピアニストのセロニアス・モンク生誕100周年記念のトリビュートアルバムでビートメイカーとして参加してくれてたんです。だから、僕らの周辺と関わるのが、今回ので二作品目になりますね」

 

長塚「DJ Spinnaさんはメールしたら、すぐに良いよってなったよね」

 

江﨑「ミックスクラウドの Spinnaさんのチャンネルで、今年1月に僕らの楽曲『Loyal Man's Logic』が入ってたんです。日本のタワレコ行ったとき、かっこいい音楽があったからみんなに紹介するよって感じで入れてくれたみたいで。フューチャー・ソウル・バンドのハイエイタス・カイヨーテのオフィシャルリミックスもSpinnaさんが担当されているのを知ってたから、連絡したらやってくれるかなって(笑)。ウェブサイトからメールしましたね」

 

長塚「レスも早いし、仕事が早かった」

 

※DJ Spinnaは現在虫垂破裂により緊急入院中。入院、リハビリの為に今後予定されているDJをこなす事が難しく、医療費や家族をサポートするための基金を彼の友人が代表して募っています。一刻も早い復帰を願っています。

gofundme.com/dj-spinna-fund

wonk_9.jpg

リミックス作品『GEMINI:Flip Couture #1』はビートメイカーだけでなく、WONKのメンバー全員がリミックスに参加している。1曲目の「Gather Round」ではNAGATSUKAがヒューマンビートボックスだけでリミックスをおこなったらしい。


 

長塚「ヒューマンビートボックスの日本チャンピオンのKAIRIって友達がいて。プライベートでよく遊ぶんですけど、彼に教えてもらいました。ヒューマンビートボックスってどこでもできるじゃないですか。だからレコーディングのときに遊びでやったりしたら、メンバーにそれでリミックス作ればいいじゃんって(笑)」

 

井上「その教わった話は今初めて聞きました(笑)。メンバーそれぞれリミックスを作ろうってなったとき、楽器できないから声だけでやっちゃえば良いじゃんって言ったら、しっかり仕上げてきたから驚きましたね」

 

長塚「スネアの音ってどう出すかも教えてもらって、めっちゃ練習したからね(笑)」

 

江﨑「褒め合うのもどうかと思うんだけど、本当に短期間でよくやったなって。長塚は無茶振りに答えてくれるし、吉本向きの才能があるんです」

 

長塚「僕はそんな気ないんですけど、そういうキャラクターに仕立て上げようとしてくるんですよ(笑)」

 

井上「けど無茶振りに答える精神はあるよね。さすが元パリピ(笑)」

 

江﨑「僕らって全員が割と音楽を作れるというか。多くのバンドはボーカルが曲作って、歌詞書いて演奏することが多いと思うんですけど、僕らは皆で案出ししながらやっています。ソロ活動でトラック提供をしたりしてるのもあって、今回のリミックスではそれぞれの色を出していこうってなったんです。僕の場合だと、9曲目の『Dance On The Water』はグランドピアノだけでやりました」

 

井上「『Dance On The Water』も基本的には『Gather Round』とコンセプトは同じで。江﨑はピアノ弾きだから、ピアノだけでやってみるのはどうだろうって」

 

江﨑「現代音楽でいうプリペアド・ピアノ(ピアノの弦に物を挟んだり弦を加工するなどして音色を変えたピアノ)っぽいことやりましょうかってなりました。途中でパーカッションとか入ったりしてるんですけど、それは長塚がね」

 

長塚「ピアノの下に入ってコンコン叩いたり、家の鍵をピアノの弦に当てたりしましたね(笑)」

 

井上「バスドラムの感じを出したくて、ピアノのどこを叩いたらそういう音が出るのだろうってなったときにピアノの下なんじゃないかって。それをマイクで録って、重ねて作りました」

 

江﨑「ピアノの下に長塚が入ってる動画があるんですけど、配管工事みたいなんですよ(笑)」

wonk_8.jpg

配管工事(笑)。この話を聞いたあとに『GEMINI:Flip Couture #1』を聴いたら、また違って聴くことができておもしろいかも。今回、WONKにプレイリスト『週末、仕事終わりの夜に聴きたい by WONK』を作ってもらったが、どのように選曲したのか。

 

長塚「ひとり10曲選んで、週末仕事終わりに聴きたくなるテーマで選びました」

 

江﨑「僕は帰宅したい気持ちと遊びたい気持ちが同居してる感じの選曲をしましたね(笑)」

 

井上「僕は、仕事終わりに遊びたい気持ちが高まるからノリノリチョイスで(笑)」

WONKのメンバーはプライベートで音楽ストリーミングサービスを使っているらしいが、AWAを使ってみた感想を聞いてみた。

 

江﨑「AWAを使ってみて、考えられたUIだなって思いました。SHAZAM的な機能も含まれたりしてて」

 

井上「検索で引っかかるアーティストの数は多い気がしますよね。ただ、情報がまとまりきってない気もする。例えばKAYTRANADA(ケイトラナダ)で調べると、featまで出るじゃないですか。それを一個にまとめてほしいとかはありますね」

 

江﨑「その問題はAWAだけじゃなくても、いろいろあるよね。ジャズピアニストのビル・エヴァンスとビル・エヴァンス・トリオが別アーティストになっちゃうとかさ」

 

長塚「英語と日本語のやつがいるみたいなのもあるよね。Ariana Grandeとアリアナ・グランデがいるみたいな」

 

江﨑「登録されている情報だけで引っ張るとそうなっちゃうんだろうね。ウィキペディアのように、リスナーが編集できるようなCGM(コンシューマー ジェネレイテッド メディア)にしちゃっても良いのかなって思ったりもしたんだけど、そうすると荒れるんですかね」

 

井上「人それぞれ考え方があるからね。別の方が良いっていう人がいるかもしれないし。そもそもAWAのユーザーさんってやっぱり日本の音楽目当てで登録する人が多いんですかね。日本の音楽って市場が違いすぎるというか。KNOWER(ノウワー)っていうレッチリの前座を務めるくらい有名なバンドと名古屋でライブしたんですけど、日本では知名度ないんですよ」

 

江﨑「1年くらい前、Bruno Mars(ブルーノ・マーズ)の新譜がCDショップに置いてあって、『あのドコモのCMでおなじみの!』ってPOPで紹介されてたのは、さすがに驚いたね(笑)。世界級のアーティストなのに」

 

井上「みんな知る手段を知らないだけだと思うんですよね。日本の曲は日本にいれば知るじゃないですか。例えば、清水翔太が好きな人は、きっとR&B好きだと思うんですよ。海外のそういったアーティストを関連づけるとか。J-POPしか聴かない人が、海外のアーティストに触れるのはプラットフォームにそれが混在するからこそ起きることじゃないですか。そういう使い方をされたら良いですよね」

 

江﨑「AWAはユーザーさんによるプレイリストの豊富さは圧倒的だと思ってて。友達に勧めるとか共有するカルチャーが盛んだと思います。他のサブスクにはないですよね」

 

長塚「AWAはカジュアルにプレイリスト作ってるよね」

 

江﨑「ストリーミングサービスって難しいけど、今後もっと盛り上がりますよね。僕らも今後のリリース方法とか、アルバムを出す以外に、他の方法を試せないかって考えてます。他のアーティストさんが月に1回シングルを出している方法も面白そうだなって。アルバムだとピークが発売月あたりだけに来ちゃって、あとはライブで頑張るみたいな。ストリーミングサービスが出てきて、話題を持続させることが重要になってくるのかなって思ってます。話題性があって、持続させることを考えて実験していきたいですね」

wonk_20.jpg

なるほど。今後の音楽ストリーミングサービスのヒントになる貴重な話ばかり...。最後にWONKの今後について聞いた。

 

長塚「新曲はいっぱい出しますね。海外展開も考えてます」

 

井上「同世代のミュージシャンは世界にたくさんいるんで、そういう人たちと何かやりたいんですよね」

 

江﨑「インディペンデントなアーティストが多くて、すぐに配信ができるので、今後はフットワークの軽さが鍵になってくるかなって。権利関係で配信が遅れましたって言ってる時代じゃないと思うんですよね」


Links

オフィシャルサイト:http://www.wonk.tokyo/

Twitter:https://twitter.com/WONK_TOKYO

Instagram:https://www.instagram.com/wonk_tokyo/

 

Credits

Text:Toru Miyamoto

Photo:Toru Miyamoto