CIVILIANがAWAでルーツとなった楽曲のプレイリストを公開。「音楽を身近にするストリーミングサービスの進化に期待している」

CIVILIAN(シヴィリアン)がAWAで選曲したプレイリスト『CIVILIANが選ぶ「ルーツになった曲』を公開した。

CIVILIANは2008年にVoのコヤマヒデカズが同じ学校の卒業生であるBaの純市とDr の有田清幸に声をかけ結成されたスリーピース・ロックバンド。8月にリリースされた最新曲「何度でも」はスクウェア・エニックスによる人気RPGシリーズのスマートフォン向け作品『スターオーシャン:アナムネシス -TWIN ECLIPSE-』のテーマソングに抜擢され話題を呼んだ。今回、メンバーと昔からの知り合いである筆者が彼らのロングインタビューを敢行。楽曲について、全国ツアーへの思い、音楽ストリーミングサービスに対する率直な思いを聞いた。

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− バンドを結成してからこの10年で誰が一番変わりましたか?

有田清幸(写真:右)− コヤマくんが一番変わったんじゃないかな。曲の中身もそうですけど、書く詞の幅とか歌の姿勢とか、わかりやすく変わったなって思うことがありますね。

純市(写真:左)− 僕もコヤマくんだと思います。最初は彼自身のことばっかり歌ってたんですけど、もっと見る世界を広げて世の中のことに着眼点を置いたり、そういう変化はすごいな、柔軟だなって思います。でも芯は変わらずに、昇華して新しいものをやれるところがすごいですね。

− お二人の意見を聞いてどうですか?

コヤマヒデカズ(写真:中央)− 自分でも変わった部分たくさんあるなと思います。10年前の初めてバンド組んだ時とは全然違う環境で音楽をやってる人間として、その当時分からなかったことが今はすごいはっきり分かることもたくさんあって。そういう変化にどうにかして対応したり、その中でもっともっといいものを作ろうって思ってるうちに、気がついたら色んなものが自分の中の考えとして、新しく変わって行った部分かもしれないですね。

− コヤマさんから見て、ご自身を除いて一番変わったのって誰だと思いますか?

コヤマ − うーん、純市は最初会った時はもっと本当世捨て人みたいだった(笑)。

純市 − 世捨て人(笑)?

コヤマ− 前にも純市と一緒にバンドをやっていて、そのバンドが解散して1年ちょっとくらい会ってなかったんですよ。新しくこの3人でバンド組むっていう時に電話をして声をかけたんですけど、久々に会った時に1年間で何があったんだっていうくらい、髪の毛もめちゃめちゃ伸びてたし、体型も変わってたし(笑)会った瞬間に「1年で何があったんだ」って(笑)。

− 何かあったんですか(笑)?

純市 − …廃れてましたね(笑)。

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ここからはCIVILIANの楽曲について話を聞いた。

最新曲「何度でも」はプロデューサーにONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONなどのプロデュースで知られるakkin氏を迎えて制作され、CIVILIANの新たな一面に触れられる楽曲になっている。 

− 初めてプロデューサーの方を迎えての制作はどうでしたか?

コヤマ − このバンドを始めて僕もだんだん柔軟になった部分はあるんですけど、それでもやっぱり自分が作ったものに対するプライドって今でもすごくあって。だから正直うまくいかなかったらどうしようっていう不安はあったんですけど、さすがというか、プロの現場をたくさん経験していらっしゃるプロデューサーの方なので、僕やバンドがやりたいって言ったことは基本的に否定せずに受け入れてくれた上で「じゃあもっとこの部分はこうしたらいいかもね」っていうアレンジのアドバイスをもらえたりしてすごくスムーズに進んだ印象でした。

純市 − コヤマのデモを崩さずにさらにかっこよくしてくれたし、いつもは自分たちだけで話し合って決めてますけど、今回はakkinさんの作ってくれたサウンドに沿った音作りで挑みました。バンドとしての幅が広がったと思います。

− シンセの入れ方も印象的でCIVILIANの楽曲として新鮮な印象を受けたのですが、あれはakkinさんと話して入れることになったのですか?

コヤマ − 一番最初に入れたのはデモの段階で自分で入れたんですよ。アレンジを煮詰めている最中で、とにかくいつもとは違う楽器を入れたいなと思っていて。とりあえずシンセのメロディを入れたものを作ってakkinさんと二人でディスカッションしている中で、僕が「こういうことをやりたいんです」って送った音源をakkinさんがブラッシュアップしてくれて作っていきました。

− なるほど。ちなみに、ど頭のイントロに入っているコーラスも今までにないアプローチに感じたのですが、どういう風に浮かんだのですか?

コヤマ− あのコーラスもデモの段階から自分で入れて。アレンジって例えるならパズルを組み立てて行くようなものというか、結局そのパズルって全部で何ピースあって何がどうなったら完成なのかっていうのは自分にしかわからないんですけど、何かが足りないなっていうことだけはわかっていて。いろんな音を入れたり抜いたりして試行錯誤をして、一番しっくりきた形を取りました。

ヴォーカルギターであるコヤマヒデカズは、ボカロPのナノウとしても絶大な人気を博している。

今までCIVILIANとしてリリースしたシングルのカップリングには、コヤマがナノウとして制作した楽曲のカバーが収録されている。

− ナノウ名義の楽曲をCIVILIANでカバーした経緯を教えてください。

コヤマ − もともとLyu:Lyuで活動していた時に、ただの自分の趣味として始めたことが全然趣味とは呼べなくなるくらい色んな人に聴いてもらえて、すごくありがたいなぁって思ったんですけど、自分の中で本当にただ遊びとして、全然別の人格みたいなもので始めたので、最初はナノウっていう人物が実はコヤマヒデカズっていうちゃんと肉体を持った生身の人間でしかもバンドもやっていて、っていうそこが結びついちゃうことが果たして本当にプラスなんだろうか、ってずっと迷っていて。特に最初の頃の曲って、歌詞の内容も女の子の声だから成立するような恋愛の歌とかを作っていたので、自分じゃ絶対歌えないって思ってたんですよね。でも、CIVILIANになった時に自分自身が作りたい曲とかやりたいことをもうこのバンド一つで叶えて行くんだ、やっていくんだっていう思いがあったんで。それのまず第一歩、一環として今まで勝手に線を引いていた両者をこれからはボーダーレスにやっていこう、ということでシングルのカップリングで1曲ずつカバーし始めました。

 

筆者が個人的にも大好きな「ハロ/ハワユ」はもともとボカロPのコンピレーションCD用に制作されたものだったという。ニコニコ動画でミリオンを達成した人気楽曲制作の裏話を教えてもらった。

 

コヤマ − 前にナノウとして別のインタビューでもお話ししたんですけど、締め切りの当日の朝まで本当に何にも浮かばなくて。ダメだなこりゃ、って思ってたんです。曲がほんっとに全然できなくて。どんな曲を作ったらいいかなって考えすぎてたので、考えるのとかをやめたというか、数時間後には締め切りがくるっていう状況で、もう思いつく音を全部入れて行って。Aメロが出来た時点で普段だったらそのAメロが本当にいいのか結構推敲しながらゆっくり作るんですけど、この時はもう出来た時点で「あーもうこれでいい!次Bメロ!あーもうこれでいい次サビ!」みたいな感じで一気に作っていきました。だから曲として出来た瞬間は本当にもう良いとか悪いとかじゃなくて「あーとりあえず出来て良かった!」みたいな感じで「すいません遅くなりました!」って言って提出した曲だったんで。それがまさかこんなに聴かれる曲になるなんて(笑)。

− CIVILIANのライブに行きたいけど勇気が出ないというか、どういう雰囲気なのかわからなくて躊躇っているファンの方もいらっしゃると思うのですが、ご自身たちでCIVILIANのライブのおすすめポイントはどこですか?

コヤマ − 例えば一人で映画に行けないとかファミレスに入れないとか、そういう一人での楽しみ方を知らない人たちが楽しみ方を知れるライブであってほしいな、と思ってますしCIVILIANはそれを知れるバンドだと思ってます。全然いいんですよ、一番壁の後ろに立って腕組んでてもいいし、わーって盛り上がってくれても全然構わないんです。僕にとってはその場に来ている全部の人と一対一のつもりで歌ってるので。一回来てくれればすごいいろんな楽しみ方があるんだっていうのを知ってもらえると思います。

− 2018年もさまざまなイベントやフェスに出演されてますが、普段のライブと心構えは違いますか?

コヤマ − どのライブも根本はどうやったら楽しんでもらえるかな、感動してもらえるかな、っていう気持ちが常に出発点としてあって、フェスに来るお客さんて何を楽しみにして来てるんだろうなとか、ライブハウスに来るお客さんとは何が違うんだろうとか結構考えますね。その上でアプローチの仕方を少し変えたりします。

純市 − コヤマが言ってたことと同じなんですけど、フェスって「うおー!」って手を挙げたくて来てる人たちも多いと思うので、それを意識したセットリストにしたりします。そうすると、色んなお客さんがいるので普段の俺らのライブでは起こらないノリが起こったりして面白いです。

 

− ステージ上からもお客さんの動きや表情って細かく見えてるんですね。あの子今泣いてるな、とかも?

コヤマ − 見えます見えます。すっごい後ろの方でめっちゃニヤニヤしながらヒソヒソ話してる2人とかも(笑)。さっきも言ったように全然良いんですよ、喋ってても携帯いじってても。あの2人をどうやってこっちに向かせようかなみたいなのも、ライブ中の自分のモチベーションに繋がったりするので。俺もお客さんを見てテンションが変わるし、ライブってそういうものかなって。

− いいですね、携帯とかいじったりヒソヒソ話してるのを見て落ち込んじゃうんじゃなくて、こっち観ろ!ってなるのが最高ですね。

全員 −(笑)。

有田 − 自分のライブレポートを書いてるお客さんも実際にいるので一概には言えないですけどね(笑)。

 

− 9月18日に発表された全国ツアーについて教えてください。ツアーが決まってどんなお気持ちですか?また、どんなツアーになりますか?

コヤマ − 2018年は全然色んなところに行けてなかったので長い間お待たせしたなぁっていうか、やっとできるな、っていう気持ちです。2018年の1年間自分たちが出して来たものも含めたワンマンにしたいな、というのが一番にあるのと、バンドとしてはすごいチャレンジングなステージでやるのでそこでしかできないことをやりたいなと思ってます。

有田 行ったからには爪痕残した上で初めて来た人にももう一度来たいな、って思ってもらえるようなライブをするのが一番の理想なのでスタッフ一同含めていいものにしよう、っていう話をしています。CIVILIANになってからのスタッフ陣って、クリエイティブなことにすごく前向きに協力してくれるんですよ。ワンマンツアーって特にそうなんですけど、どうしても規模的に縮小しなきゃいけなかった演出をなるべく遜色なくやれる方法含めて目下話し合ってるので、楽しみにしてて欲しいなって思います。

純市 同感です(笑)。

 

定額制の音楽配信サービスについて彼らはバンドマンとして、個人としてどういう印象を持っているのか。

 − 定額制のストリーミングサービスに対して、音楽を作っている側の人間としてどう思いますか?率直に教えてください。

有田 俺は、ガンガンやってほしいと思ってます。CDっていうメディアも、手元にあることの喜びとか手で作品を確かめられるとか、ライナーノーツをみる瞬間とか、そういう良さがあるんですよね。だからそれぞれの良さを取って両方使う人ももちろんいると思うんです。配信サービス自体は、音楽をより身近にしてくれるツールとしてめちゃくちゃいいなと思って自分でも使ってます。気になった時に気になった曲が聴けるって、俺らが昔感じてた不便さを取り除いてくれるじゃないですか。ショップ行かないと聴けなかったのがその場でも離れてても共有できるし。ただ音のクオリティとかはもっと質を高められるようになるといいな、っていうのはあります。今もハイレゾ配信とかありますけど技術が進歩してその辺が今より良くなって行けば、もっと先の見えるツールなんじゃないかなって思ってます。

純市 − 便利だなぁって思います。いろんなアーティストとかバンドとか知れるし。俺も使ってるんですけど、幅が広がります。うん…なんか良くも悪くもっていう気持ちも正直ありますけど(笑)

− そうですよね。実物として存在していない分、大事にされてないような感じがするという意見を聞いたことがあります。私もCD世代なので、そういう気持ちもすごく理解できるなと思ってます。

純市 − うん、さっき有田が音質の話してましたけど、やっぱりCDの音を聴いてもらいたいっていうか、「何度でも」のコーラスの話もそうですけどもっとこういう音が鳴ってるのになぁ、とかそこを残念に思う時はあります。でも便利には違いないな、っていうのも感じてます。

コヤマ − 個人的にはものすごく使ってるので、とても助かってます。音楽だけじゃなくて便利なものがあれば当然みんなそれを使うと思っていて、俺も使い始めてこれめちゃくちゃ便利じゃんと思ったし、自分の聴きたい曲を聴きたいと思った瞬間に今ここで聴けるわけで、こりゃあ誰だって使うよって思ったんですね。音楽を作ってる人間として一つ望んでるのは、ミュージシャン自身にもっと金銭的に還元できるような仕組みに早くなってほしいなって思います。いま海外の主流ってどんどんストリーミングに移行していて、ストリーミング市場から億万長者になるミュージシャンもどんどん出てきてるので、それだけ影響力を持っているものから日本国内でもそういうアーティストが出てきてほしいし、自分たちがそうなれるのならなりたいし。CDっていうメディアを好きかって聞かれたらもちろん好きだし、これからも作っていきたいんですけど、多分これからCDっていうもの自体今までとは違う価値が出てくるものなんじゃないかって思ってて。音質どうこうもそうなんですけど“ものであることの価値”っていうか。

日本の本当に良い音楽が海外に届くようになって、これから先は海外だからどうとか日本だからどうとか、そういうボーダーはなくなっていくと思っているので、作っている人間として今の時代に合った自分たちの表現の仕方だったりっていうのは真剣に考えて行かなきゃなって思ってます。

 

彼らの最大の魅力は楽曲の持つ熱量と歌詞の共感性にあると思う。うまく言葉にできずに燻っている感情を正面から言い当てられたようなハッとする瞬間もあれば、怒りや悲しみに同調してもらえたような気持ちになる瞬間もある。私は踏ん張りたい時、「生者ノ行進」をよく聴く。聴いたことがない人に向けて解説すると、別に全編通して前向きな言葉で応援してくれてるわけじゃない。なんなら痛いところ突いてくるし現実を見せてくる。それでも聴くと力が湧いてくるのは、ずっとバンドを続けてきた、これからも続けていく彼らの明日へ向かう強い意志が歌詞からも音からも溢れてるからだと思う。

 

今回彼らが作成した「ルーツになった曲」プレイリストは、ミュージシャンとしての背景や趣向が感じられるものになっている。本人たちの選曲理由も記載されているので、そちらもチェックしてほしい。

これからの活動がますます楽しみなCIVILIANに今後も注目したい。


Links

オフィシャルサイト:http://civi-l-ian.com/

Twitter:https://twitter.com/CIVILIAN_LyuLyu

Credits

Text:Makiko Kashio

Photo:Makiko Kashio