nolalaがAWAで選曲した「思いっきり泣きたい時に寄り添ってくれる唄」を公開。 SNSでバズを起こしたツインボーカルガールズバンドが目指すものとは

ガールズバンドnolala(ノララ)が『思いっきり泣きたい時に寄り添ってくれる唄』をテーマにプレイリストを公開した。

nolalaは京都発のスリーピースガールズバンドで、Vo,Gtの千陽が何気なく呟いたツイートがバズったことをきっかけに、MVの再生数が瞬く間に10万回を突破。若手バンドの登竜門となっている見放題やTOKYO CALLINGなどのサーキットイベントに次々と出演し、注目を集めている。自身の恋愛体験を歌に落とし込み、若い世代を中心に支持が広まっている彼女たち。来たる2020年に間違いなく爆発的に伸びるであろうnolalaというバンドを深掘りするために、インタビューを実施した。

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ーー今のメンバーになるまでの流れを教えてください。

美寿々(Ba,Vo):それぞれ音楽活動をしていたんですけど、私はそのバンドで思うように活動出来なくてもやもやしていたんです。その時に、普段お世話になっているライブハウスの方に「もっと音楽したいねんけどなー」みたいな話をしたら、「そんなあなたに良い子がいるよ」ってオススメしてくれて(笑)。「この子とこの子、会ってみたら」と言って、千陽と前のドラムの子と繋げてくれて、そこからトントン拍子でnolalaとしての活動が始まりました。

千陽(Gt,Vo):私は、当時のバンドが解散前後くらいのタイミングで「声が合う子がいるから、ふたりで歌ったらいいんじゃない」と声をかけてもらいました。なので、3人で会う前から “ツインボーカルなんだな” って思っていて、そこからすぐなんとなく曲を作っていたので1回目のスタジオからオリジナル曲をやりました。チャットモンチーのコピーもしたけど、「曲作ったからこれやってみない?」って(笑)。

美寿々:そこから1年活動して、ドラムの子が抜けてしまって。

千陽:そう。そしたらまた同じ方が「ドラムで良い子がいるよ」と紹介してくれたのが、ひなでした。はじめはサポートとして1年間やってもらって、その後正規のメンバーとして加入してもらいました。

ひな(Dr,Cho):私はちょうど前のバンド脱退後で、もともとガールズボーカルが好きやったんで、すぐやります!って返事をしました。

ーー繋げてくれた方のおかげで今のnolalaが見れるんですね。その方きっと今、しめしめと思ってるかもしれませんね。

千陽:思った通りに行ったなぁみたいな感じで思ってるかもしれませんね(笑)。別レーベルにはなるんですけど、今でも会うとリハーサルを見てアドバイスくれたり、気にかけてくれています。

ーー良い関係ですね。続いては、みなさんがそれぞれ楽器を始めたきっかけを教えてください。

ひな:私は、地元の一個上の先輩が吹奏楽でドラムをやっていて、その子が部活で賞を獲るためにドラムを頑張りたい、とスクールに通うことになって、お母さん同士も仲が良かったので、一緒について行ったのがきっかけです。何事もあんまり続かないんですけど、ドラムだけは唯一続いています。

美寿々:高校に入って、1年生の時に地元が一緒の3年生に文化祭でバンドをやるから歌ってよ、って誘ってもらって。そこでバンドを初めてやったのがきっかけで、大学で軽音楽部に入りました。その時はマイクを持ってボーカルとしてカバーばかりやっていたんですけど、大学卒業後に軽音楽部で一緒にやっていた男の子たちから、ベースボーカルの女の子が抜けるからベースボーカルで入って欲しい、ベースも覚えて欲しい、と誘ってもらったのがきっかけでベースを始めました。それ以来ずっとベースボーカルです。 千陽はなんで始めたんや(笑)。

千陽:私は…(笑)。中3の時に、音楽の選択授業でリコーダーかギターか歌か選ぶ、みたいな感じやったんですけど、その時、もう5年くらい好きだった男の子がギターを選んだので、私もギターを選んで。中3やから、次は高校の選択になるじゃないですか。どうしても同じ高校に行きたかったんですけど、親から絶対あかんって反対されて、高校は離れてしまって、どうしよう!と思っていたら、その子がバンドをやるためにエレキギターを始めたっていうので、私もバンドやる!私もエレキギター買って!って言って買ってもらって(笑)。その子を追いかけるためだけにギターを始めました(笑)。

ーーすごい!(笑)。その男の子は続いてましたか?

千陽:いや、すぐ辞めちゃったんですよね…。でも辞めたことすら知らなかったんで、結構頑張って。「ライブで会わな!」と思って、なんとかメンバーを集めて活動したりしていて。辞めたって知った時、なんかもうここまできたら…ここまでっていうほどやってなかったんですけど、なんか…なんだろう、あんまりバンドが根付いてなかった街だったので、なんか “かっこいい” って思われたいなと思って。じゃあ、かっこいいって思われるにはどうしたらいいんだろう、女ばっかりやったらナメられるな、じゃあわかった、ふたりとも歌えたらいいんだ、って思って。ボーカル入れて、自分がギター弾きながらコーラスをめっちゃ頑張って。変に熱が入ってそのままずっと、きっかけになった男の子はすぐ辞めたけど、私はいまだに続けてますね。

楽曲制作はVo,Gtの千陽主導で行われるそう。制作場所は、なんと自宅のトイレだという。

千陽:基本的にアコギで作るんですけど、うるさいと思うんですよ、部屋で弾くと。だから、トイレに籠って作って、いいなと思ったやつをスタジオでちょろっと弾いて、メンバーが食いついてきたらそのまま進めるし、あんまやなって思ったらもうそのまま捨てます。本当に最初の頃は、一瞬くらいしか持っていかなかったんですよ、サビワンコーラスとかAメロだけ、とかぐらい。今回のアルバムの曲からは、結構長めに、コーラスとかも入れた状態で持っていって聴いてもらって、にしましたよね。合ってる?(笑)。

ーー作詞もある程度千陽さんが固めて持っていくのですか?

千陽:そうですね、最初は鼻歌で出来ることが多いんですけど、鼻歌でこのメロいいなと思ったら、ギター持ってきて適当に歌詞をつけて歌うんですよ。で、その時に、カチッとメロと歌詞がハマったやつをそのまま残して、それをベースにして歌詞を広げたりメロディを広げたりするので、大体なんとなしの歌詞は出来てる状態で持っていきます。

ーーなるほど。ということは、スタジオでセッションしながら完成していくと思うのですが、曲作りやリハーサルでぶつかることもありますか?

千陽:ありますよね(笑)。私は結構、テレビで流れるような、Mステとかに出るような万人受けする曲ばっかり聴いてきてるので、間奏がちょっと長かったり、イントロが長かったりする曲を作りがちなんですよ。でも、ひなは結構サクッとした曲を聴いてきていて。ひなから「ちょっとここ長いよね」っ言われても、私はそれを長く感じなくて、みたいな。そういう曲の間奏の長さについて「もっと削れる」「いやでもこれは残したい」っていうやりとりはあります。多分、ひなの言う通り3人でやるには長いんですよ、間奏が。でも、自分の頭の中にはギターソロがいて、5人ぐらいで演奏してるので、イメージでは長くないけど、実際3人でやってみると「いややっぱいらんよな、削ろうか」ってなります。デモの段階で6分とかの曲持っていきがちなんですけど(笑)。

美寿々:長い(笑)。

千陽:あとは、歌詞についてかな。私は結構、深く考えてその意味が理解出来るものがかっこいいと思ってやってきていて。でも、最近はストレートに書くほうが聴きやすいというか、受け入れられ易いんですよね。私は音楽番組で流れるようなヒット曲を聴いてきたので、最近の曲をそんなに聴いていなくて、逆にひなは最近の音楽を聴いていて、ひなから歌詞に対して要望をもらっても、私なりに意図があって、ブロックごとに想いが入ってるので途中だけを変えるっていうのが結構難しくて、ぶつかることもあります。美寿々さんは、それを一歩引いて見てる(笑)。あと、美寿々さんはあれが細かい、(リズムを)食う食わんとか、頭で入るのか入らんのか。「え、今のどっちなの?じゃあ、こっちはこうだからこっちはこうだよね」みたいな、めっちゃ細かい(笑)。

美寿々:多分、ふたりは感覚でできちゃうタイプやと思ってるんですよ。ノリでいけてるけど、私は頭の中で「え、1番食ってて2番食わへんのはわざと?」って。あえてなのか、感覚でなのか。あえてやったらいいけど、ミスでそうなってんねやったらちょっと考えてみて、って言う話をします。頭の中でめっちゃ考えちゃうので。

千陽:確かに感覚でやってるから、最初美寿々さんが何言ってるか全然わからんかった(笑)。「え、どこ?全然不自然やないやん!」「いやここやって。」「わからん!」って(笑)。

ひな:いいバランスですね。

――聞いてて思いました(笑)。

nolalaが2019年8月21日にリリースした初の全国流通版「"from ex"」は、昨年の12月から制作に取り掛かり、完パケしたのは今年7月末だったという。AWAでは、収録曲「いつかは」と「グッバイライアー」が配信中だ。

ーー印象的なタイトルですが、今回のタイトルに込めた思いは何でしょうか。

千陽:レーベルの人がつけてくれてたんですよ。言葉のセンスがすごい人で、めちゃくちゃ尊敬してるんですけど、その人が出してくれた候補の中で、最初はフロムイーエックスって読むぐらい意味わかってなかったんですけど(笑)。ひなも美寿々さんも、最初からむっちゃいいやんって言ってて。

ひな:フロムエクス一択、みたいな。でも千陽が全然意味わかってなくて(笑)。

千陽:(笑)。「元カノ、元カレ」とかの意味があって、確かに元彼に対する曲を書きまくっているので、自分でしかないな、と思って。「フロムイーエックス」って読む人が多いんじゃないかなと思うんですけど、nolalaを知りたいって思って調べてくれた人は、意味を知った時にもう一回ときめいてくれるんじゃないかなと思って、全員一致でこれにしました。

ーーアルバムの帯に書かれてる一言にグッと来ました。

ひな:これ私が考えたんです。

千陽:刺さる言葉を一言でパーンと書くのがむちゃくちゃうまいんですよ。

ひな:やっぱり手にとってもらう人に一番目について欲しいなって。一言でパンチある言葉を書くのがすごい好きなんです。

千陽:私が書いているって思われがちなんですけど、一言バーン系はひな。タワレコのポップも「元恋人へ、中指に愛を込めて」。

ーーかっこいいなぁ…(笑)。「"from ex"」リリースまでの出来事だと、あのツイートがバズったのは投稿してすぐ?

千陽:一瞬でしたね、すごかった。その時ちょうど “バンドマンと付き合ったらお前ら全員曲にされると思うなよ” みたいなツイートを見かけて、「いやわたし曲にするよ」と思ってなんとなく書いたら、どんどん数字が上がっていきました。

ーーそこからバンドへの跳ね返りというか、反響も増えました?

千陽:むちゃくちゃ増えました。そのあと、すぐCDが全部完売しました。もともとタワクルでも買ってくれる方がいたので、そんなに在庫もなかったんですよ。ツイートを見てCDが欲しいと言ってくれる人がすごい増えたので、一週間だけ400枚追加で再販したら、一週間で350枚売れて。今までサーキットって一回しか出たことなかったんですけど、今年は年明けから年末まですごい本数が入ってて。「見放題」や「TOKYO CALLING」にも出れたし、お客さんに若い子が一気に増えて、フォロワーもめちゃくちゃ増えて、すごいちやほやしてもらってます(笑)。奇跡です、マジで。

SNSでバズったことでバンド生活に変化が現れたnolala。そんな彼女たちも、SNSとの付き合い方には慎重だ。現代のバンドが抱える “音楽以外の悩み” は何なのか。

ーー音楽以外のことでストレスを感じる、というツイートを拝見して気になってました。

千陽:ガールズバンドあるあるなんですけど、自分にはレスが来ないとか、そういう反応がたまにあって。狙ってそうしてるわけではないんですけど、そういうのを見るとやっぱり多少はすり減るので…。でも、そこに引っ張られすぎずに、適度な距離を持ってSNSとは付き合っていきたいと思っています。

ーー少し脱線しますが、音楽以外で好きなことや趣味はありますか?

千陽:はい!ディズニーです!あの非現実的な雰囲気が大好きで、めっちゃディズニーランドとかディズニーシーの話をふたりにするんですけど、あんまり興味を持ってくれない(笑)。エントランスのBGMとアトラクションの時に流れるライドのBGMとかをずっとループしていて、待ち時間が見れるアプリも毎日見るんですよ、それがもう楽しくて。

美寿々:一番時間を費やしてるのはyoutubeかな。これってどうなんやろうっていう疑問を持ったら、試してみたいタイプなんですけど、今はyoutubeで全部試してくれる。東海オンエアのチャンネルをめっちゃ観てるんです(笑)。結構インドア派です。

ひな:うーん、何やろ…。自転車に乗ることは好きです。京都でライブの時は、移動は全部自転車。特別いいチャリ乗ってるわけではないんですけど。スネアとペダルとスプラッシュを担いで走ってます。

千陽:ひな趣味なさそうやな。

ひな:本当にないんですよ。

千陽:今日も漫画の話をしていたんですけど、漫画も読まないんで。

ひな:漫画読んだことなくて、人生で。

ーー人生で…?

ひな:ないですね、雑誌の付録をもらうためだけに買ってました。中身読んだことない。

千陽:私はネット漫画に加入してるんですけど、やばいくらい少女漫画が入ってる。見せてあげたいくらいお金かけてる。

ーー私も結構読みます、現実逃避したい時とかに(笑)。

千陽:わかります、今を忘れたい(笑)。スケジュールかつかつでしんどいなっ、て現実世界で悩むくらいなら、あちらの世界に呼んで欲しい(笑)。

nolalaがAWAで配信している楽曲は、全部で3曲だ。少ないように感じるけれど、そこには彼女たちのこだわりや信念がある。

千陽:曲を限定して配信だったら「このバンドいいな、他の曲も聴きたい、あ、ないんだ、じゃあ買わなきゃ」っていう連鎖になると思うんですけど、全部配信しちゃうと、ジャケットや歌詞カード含めて、自分たちがせっかく考えた作品の歌詞をめくるとこもなく終わってしまうのは悲しいな、と思ってしまって。今は半分自主制作みたいなところもあるので、あくまでサブスクはCDをとってもらうための手段として考えてます。

ーーありがとうございます。最後に、すでにファンになってくれている人含めて、nolalaの曲を好きになってくれた人に対してどういうバンドに、どういう存在になりたいですか?

千陽:私たちの曲を聴いて、辛い恋をしててもまた…恋がしたくなるようになって欲しいなあと思います。どちらかというと、凹んでる時に聴いて欲しい。

美寿々:私がずっと思っているのは、てるてる坊主。あなたの太陽になってあげる、あなたを守る傘になってあげる、っていうバンドがいるけど、私たちは雨を完全にシャットアウト出来る強さもないし、太陽ほどのギラギラしたものもない。だけど、一緒に雨に濡れて隣にいることはできるよ、一緒にあなたの晴れを祈ることもできるよ、寄り添って、一緒にいてあげられる。強くはないけど、心の拠り所になってあげたいなと思っています。

ひな:もう全部言ってくれました 。

千陽&美寿々:おい!(笑)。

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nolalaに出会ったきっかけは、ガールズバンドのプレイリストに使うカバー写真を探している時だった。写真に惹かれてインスタのアカウントを覗いてみると、サビ始まりの「グッバイライアー」のMVがアップされていて、一度観ただけでリピートが止まらなくなった。

すぐにコンタクトを取って、都内で開催されるライブを観に行くことが出来、そこで聞いた「最初はこのバンドに似てるとか、そういう入り方でもいい。私たちが京都のnolalaです。覚えて帰ってください。」という千陽のMCは、あの日観たライブハウスの光景と同時に想起するくらい、熱量を感じたのを覚えている。

少し年齢が離れていて、性格もバラバラ。誰かの足りない部分を、誰かが背伸びをせずに補える自然な精神面のバランスの良さと、誰にも負けない、というぐつぐつに煮えたぎる熱を音楽に注ぎ、感情を揺さぶる力が彼女たちの楽曲にはある。

このインタビューでnolalaが気になった人は、ぜひ一度nolalaのライブに足を運んでみて欲しい。

2020年、元カレにとって、さらに手の届かない存在になってくれることを願って。


Links

Twitter:https://twitter.com/n_o_l_a_l_a

Official HP:https://f001gt.wixsite.com/nolala

Credits

Text:Makiko Kashio

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