中村佳穂がAWAでプレイリスト『「AINOU」制作時に聴いてた曲』を公開。「2ndアルバムを作るときには、自然と聴く音楽も変わっていった」

中村佳穂(なかむらかほ)がAWAでプレイリスト『「AINOU」制作時に聴いてた曲』を公開した。

中村佳穂は京都出身、京都在住の92年生まれのミュージシャン。彼女は大学在学中の20歳のとき、京都のライブハウスを中心に音楽活動をスタートさせ、ソロ、デュオ、バンド、セッション、さまざまな形態で自身の音楽性を拡張させ続けている。2016年には1stソロアルバム「リピー塔がたつ」をリリースさせ、同年、フジロックへも出演を果たした。そこから、2年という歳月をかけて作った2ndアルバム『AINOU』が2018年11月にリリース。このアルバムは、全国各地で出会ったミュージシャンを引き入れてセッションしていた、今までのスタイルとは違う。レミ街の荒木正比呂と深谷雄一、MASAHIRO KITAGAWA、西田修大というメンバーを決め、彼らと2年間コミュニケーションを密に取り、できあがった作品だ。このことについて、中村佳穂はこう話す。

2016年の1stアルバムが出た時点で、違うことをしたいって思っていました。そのとき、Laura Mvula(ローラ・マヴーラ)や Mocky(モッキー)などの新しい洋楽に興味が出ていて。こういうサウンドを目指していくには、自分は何から手をつけて良いのか分からない。けど、音のバランスを考えられる人たちと時間をかけて制作すればできるんじゃないかなと思った

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今回、AWAでは中村佳穂にプレイリストを作ってもらい、彼女のバックグラウンドや2ndアルバム『AINOU』の制作エピソードについてなど教えてもらった。

- 幼少の頃から音楽に触れていたのですか?

中村佳穂 - 2歳の頃から、ヤマハでピアノを習わせてもらってました。2歳からハタチになるまでなので、18年間。歌も昔から好きで、いつも大きいヘッドホンして、鼻歌を歌いながら、絵を描いてました。音楽と美術が好きだったので、当時は音大に行こうか、美大に行こうか、本気で迷いました。結局、美大に行くのはやめて、京都精華大学の人文学部に決めました。先生たちの癖がいちばん強くて、おもしろそうだなって(笑)。そこの学部は部屋で流れてる音楽は、どういう音楽がベストなのか…例えば、京都タワーだったら、こういう音楽が良いんじゃないか、とかを議論して研究する学部でした。なぜファミレスはこういう音楽が流れがちなんだろうとか。そこで授業を受けて、終わったらライブハウスに行って、オープンマイクで歌う、そんな生活でした。

- オープンマイクではどんな曲を歌っていたのですか?

中村佳穂 - オープンマイクでは、オリジナルとカバーを歌っていました。カバーしたアーティストは、くるりやキセルさん、tofubeatsさんとか。tofubeatsさんとはフェスで一緒になったときに1stアルバムを聴いてもらいたいって思って、CDを渡したことがあります。それがきっかけで、「次の作品でコーラスしてもらっても良いですか?」と声をかけていただいたときは、めちゃくちゃ嬉しかったです。あと、母が七尾旅人さんの“サーカスナイト”をラジオで聴いて教えてくれて、そのカバーをやったりもしました。

- お母さんも、かなり音楽に詳しそうですね。

中村佳穂 - 母はすごい音楽好きで、いつも家では音楽がかかっていました。今でも感性が合うので、今回、AWAのプレイリストに入れた曲も母が良いよねって言ってくれましたね。

- 今回、AWAのプレイリストに入れたアーティストたちは、以前から聴いている人たちだったのですか?

中村佳穂 - 今回のプレイリストに入れてるような人たちは、1stアルバムの制作のときに聴いてなかった人たちなんですよ。2ndアルバム『AINOU』では、1stよりも広がりがある、海外の人たちにも聴いてもらえるようなアルバムになったら良いなって思ったんです。そしたら、聴く音楽も自然と変わっていきました。今までみたいなセッションの延長線上でやるんじゃなくて、制作者タイプの人たちに「2年くらいかかると思うのですが、いっしょにアルバムを作りませんか?」と誘いました。

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- 『AINOU』を制作する上で、影響された海外アーティストはいたのですか?

中村佳穂 - 2nd作ってるとき、Anderson .Paak(アンダーソン・パーク)の動画とかよく見てました。全く違うリズムを刻みながら、ハキハキとラップしてるのが、かっこいいなって。影響というか、そういう感じを日本語でできないかなって思って作った曲が“アイアム主人公”なんです。メンバーが、洋楽っぽい雰囲気のメロディーラインを作る人たちだったので、そこに詩を乗せるのには努力しましたね。

- 詞を書くこと自体に苦労はなかったのですか?

中村佳穂 - 2ndは曲自体に時間がかかってるんですけど、詩を書くこと自体は早かったかもしれないです。詩は自分の中で身体と一番密接にリンクしているので集中が切れるタイミングが分かりやすい。集中が切れたら、ノートをしまって放置。頭の回転が速い瞬間を狙っている感じです。すごく集中しているときはライブ中に話しながら、思ったことをそのままメロディラインに乗せて歌えたりもします。最後の“AINOU”って曲は、ASAYAKE 01(アサヤケゼロワン)さんとセッションしたものを、そのまま曲にしたんですよ。原型というか、制作してるときのイメージは、いちばん出てると思います。

- この作品が仕上がるまでに、原型となる曲はたくさんあった。

中村佳穂 - そうですね。わたしたちで作ったカケラみたいなものを大量に残す、という作業を2年くらい続けてきて。そこからピックして1曲にしてます。メンバーとは、Slackというチャットツールでおすすめの動画リンクやデモのリンク、スケジュールとかのやりとりをしてるのですが、デモのリンクは覚えきれないくらい大量にありました。ひとつひとつのカケラが組み合わさって、1曲になっている。このやり方は今後も変わらないんじゃないかなって思います。

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Links

オフィシャルサイト:https://nakamurakaho.com/

Twitter:https://twitter.com/KIKI_526

 

Credits

Text:Toru Miyamoto

Photo:Toru Miyamoto

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