自身が主人公を務めるTVアニメ「怪病医ラムネ」のオープニングテーマ「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」のリリースを記念して、第二回目のリモートインタビューを敢行。持ち前のハッピーオーラと飾らない人柄の彼は、2020年をどんな風に過ごしたのか。そして、2021年をどう駆け抜けるのか、本人に話を聞いた。
・「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」は雄馬さんにとってどんな楽曲ですか?
今回は非常にポップで明るい楽曲になっています。オープニングテーマを務めるTVアニメ「怪病医ラムネ」のテーマ性をもとに制作をしているのですが、内田雄馬としても今までにないほどに前向きな楽曲になっていると思います。
・なるほど!タイアップならではの気をつけていること、意識していることはありますか?
タイアップさせていただける際には、今までの自分たちの音楽性に縛られないものを作りたいと考えていますし、逆にそういうことが可能なチャンスなのかなと思っています。
僕が役者として活動する中で、役に合わせて色々な形で演じさせていただいているように、アーティストとして作品とタイアップする際にも、特定の音楽ジャンルに拘らず、柔軟にスタイルを変えながら作っていきたいと考えています。作品が持つ明確なテーマに合わせて音楽を作るというのは、タイアップさせていただく上での楽しさの一つですね。
・「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」は全編にブラスサウンドを取り入れ、まさにポップで明るい雰囲気でありつつ、ラップセクションもあり、さらにMVでサックスも披露されていましたね。サックスは最近始められたんですか?
いえ、サックスは2016年末くらいに買って持っていたものなんです。今回ブラスが入っているので使えないかな?と話をしていて、MVで見事な演奏を披露したように見えるんですけど、実は曲中で鳴っているのはトランペットの音っていう(笑)。あのサックスの音は一ミリも、楽曲には入っていません(笑)。
・(笑)!すごくかっこいい色のサックスでした!
そうなんですよ。高校の時にサックスを吹いていたので、大人になってからも吹きたいなと思っていたのですが、なかなか大きい買い物なので足踏みしていて。なにか新しいことを始めたいなと思ったときに、思い切って購入しました。金色のサックスは触ったことがあったので、特別な感じがいいなと思ってあの銀色を選びました。
・こだわりのサックスですね。とてもお似合いでしたよ。
ちゃんと吹けたらもっとかっこいいんですけどね(笑)。
・いやいや。前のインタビューで”いろんな楽器に挑戦してみたい”とおっしゃっていたので、もしかしてピアノに続いて始められたのかな思っていたのですが、経験者だったのですね。
購入してから3.4年経ちますけど、3回くらいしか吹いたことないです(笑)。せっかく買った大切なサックスなので、家で吹ける環境を作りたいなあなんて思ったりしています。ミュートをつけても結構な音が鳴るので、そういう環境ができたら気軽にたくさん練習したいですね。
・いつかまた拝見できるのを楽しみにしています。続いて、2曲目の「Spin a Roulette」について教えてください。聴かせていただいて、グルーヴ感というか、ジャジーな雰囲気を感じつつ、鍵盤も全面に出ていて心地良いなと思いました。雄馬さんにとってはどんな楽曲ですか?
カップリング曲を決める際に、表題曲の「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」に通じるような、SHAKEしている、回転しているイメージが紐づけられないかなと話していたところ、「Spin a Roulette」に出会いました。スピード感のある楽曲が欲しいなと思っていたので、ちょうどバッチリはまりました。「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」もそうですけど、この曲も”翻弄されて自分の気持ちがぐるぐる回っていても、進むしかないよね”と心を奮い立たせる、別の答えを出していった楽曲かなと思います。
・「信じる価値のあるもの」という歌詞が印象に残っています。雄馬さんにとって思い入れのある、ルーレットの中心になっているような歌詞はありますか?
「一か八か」っていうところじゃないですかね。”結局やるしかないよね”っていうところだと僕は思っています。
・確かにルーレットも一か八かですものね。
決めたら回してみるしかないので、何事もそういうものなのかなと。色々ぐるぐる回ったとしても、やるしかない。信じるって難しいですよね。最近は、何も信じないが案外一番信じられるかもしれないと思っています(笑)。
・深い話になってきましたね…。
何かに期待するのは期待する側の都合で、期待された側には重荷になってしまうと思いますし、自分の期待通りにならなくて裏切られたと感じてしまうこともあります。もちろん、全部ひとりでやるということではなくて、相手に自分の価値観を押し付けず、まずは自分がどうするかを考えることが大事だと思うんです。それが、結果的に自分らしさにもつながっていくのかな、と感じています。
・「Relax」は、タイトルを良い意味で裏切る楽曲ですね。タイトルを見た時になんとなくイメージした曲調とは全く違って、斬新さを感じました。雄馬さん的にはどんな曲でしょうか?
「Relax」は、脱力してヒーリングしているというイメージではなくて、一番良い、ありのままの自分で進もう、という楽曲だと思っています。「飛ばしすぎじゃない?」という最初の言葉もそうですけど、結局、自分にとっての一番良い場所で、頑張りすぎずに進めばいいと思うんですよ。実は、僕もこの楽曲歌っている時にこの楽曲に救われたんです。何でもかんでもうまく行かせたくなるし、良くしたくなる。そうなると、自分の力以上に頑張りすぎてしまう瞬間もあるんですよね。でも、自分にとって一番良い状態、リラックスしている状態というのは、一番良い力が入っている状態だと思うんです。この楽曲は、力を抜いて脱力し切ろうというよりは、自分が力を出しやすい場所で頑張れば良いんじゃない?楽に行こうぜ、という思いで歌っています。手を抜いていこう、ということではなくて、自分にとって適度な力、適切な力が入っているリラックスした状態でいこうよ、というメッセージがこもった楽曲です。自分らしく、もう一歩を踏み出すパワーになったら嬉しいですね。
・サウンド的にもロック系の要素がありつつ、メッセージ性を感じたので、”頑張りたい時”に聴きたいなと思いました。
そうですね、頑張っている時に聴くと、本当に良いリラックスになるんじゃないかなと思います。僕はこの歌に出会った当時、すごく頭でっかちになってたのですが、この楽曲を聴いて「確かにな」と思う部分がとても多くありました。無理をしてカッコつけても仕方がないな、というのはすごく感じましたね。
・はっきりと心境が変化したきっかけがあったのですか?
この詞はSHOWさんが書いてくださったのですが、僕にとっては“誰かの言葉”を解釈しようとする過程で受ける影響がとても大きいんです。2020年は人と会って喋る機会が少なかったり、直接会って話す機会がない中で、僕自身、人の言葉を聞く機会がすごく減ってしまったんですね。そんな中で誰かが書いてくれた歌詞というのは、自分の新しいエネルギーや糧になっていった感じがします。特に「Relax」は、ひとりで頭の中をぐるぐる回していた時期に出会った楽曲だったので、よく覚えています。これまでの楽曲以上にもっとダイレクトにみんなの元気や力になれる、応援になるような楽曲というテーマで制作させていただいたのですが、誰よりも先に自分が元気をもらってしまいました。先に自分が元気をもらえて実感しているので、きっとみなさんの力にもなるんじゃないかなと思っています。
・コロナでお家にいる時間が否応無く増えたと思いますが、家での雄馬さんなりのリラックス方法は?
コロナ禍になりたての頃は、ずっと家にいたのでずっとゲームをしていました。ここ最近は、ありがたいことに仕事で忙しくさせていただいていて、毎日のお風呂でリラックスしていますね。お風呂に入ると経験値が上がる感じというか、なんだか一個プラス得したような気分になります。ただ、一時期シャワーノズルの詰まりか何かでお湯が全然出なくて、水制限がかかった学生寮のシャワーみたいな量しか出てこなかったんです(笑)。その状態が2週間くらい続いたんですけど、ものすごいストレスで、肌荒れなど体の調子が悪くなったので、本当にお風呂は大事なんだなと思いました。同じマンションに住んでいる声優さんがいるのですが、家のシャワーを見てもらったら「うちのシャワーは普通だよ」って言われて。結局、自分で買い換えたシャワーノズルが不調だったという、ただそれだけだったんですけど(笑)。お風呂に入るたびに「辛いなあ…辛いなあ…」って言いながら入ってました(笑)。今はもうバッチリ改善して、お風呂が楽しみですね。お風呂をきっかけに寝る体勢に入っていくっていう感じです。
・冬に聞くと凍えそうなエピソードですね…。ちなみに季節は…?
シャワーがよくなかったのは11月だったので…めっちゃ寒かったです(笑)。さらに、生活リズムが変わったタイミングで、普段以上に色々と癒しを求めていた中だったので、かなりキツかったですね。朝のナレーションが終わって一回家に帰ることが多いんですけど、帰ってお風呂に入って次の現場に行ったりするくらい、お風呂は好きですね。朝と夜にお風呂に入って、タイミングがあればお昼も入ろうかなって思う時もありますし。しずかちゃんみたいですね(笑)。
・確かに(笑)!癒しの時間が復活して良かったです。さて、公式オンラインショップ「YUMART」ではカレンダーやバッグ、「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」にちなんだグッズなど、素敵なグッズがありますが、今後どんなグッズ展開を予定されていますか?
何より皆さんにお届けできる、皆さんと繋がっていられる要素が増えるようにという気持ちで始めさせていただいています。僕たちのチャレンジを、音楽以外の形でも皆さんのお手元に届けられたらと思っています。便利なものや、自分たちが使っているものから皆さんにお届けするのは何がいいかなと、考えながら作ってます。今は時勢的にも難しいですが、安心して出かけられるようになったら、トラベルに使えるようなものがあったらいいななど、その時々で色々なアイテムものを考えられたらと思っています。
バッグが深めでいいですね。買い物に便利そうだなと思いました。
下のマチも広くて良いんですよ。こんな風に実用的なものと、おうちに置いておけるようなものと両方作れるといいですよね。
・今後のグッズ展開も楽しみにしています!AWAでは、雄馬さん選曲のプレイリストをいくつか公開いただいておりますが、実際にご自身で選曲してみていかがですか?
すごく楽しかったです。自分の思い出をたどるようでもありますし、自分の嗜好をしっかり振り返ることってあまりないんですけど、プレイリスト見てみると性格が見えるというか、こういうの好きなんだなっていうのが自分で再確認できました。時代感もバラバラの楽曲が並んでいると思うので、皆さんも僕のプレイリストから新しい楽曲を知ってもらって、楽しんでもらえたら嬉しいなと思います。
・ありがとうございます。ぜひ今後も作ってください!
ぜひよろしくお願いします!何をテーマにするかですね。それを考えるのも楽しいですね。
・最後に、「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」は明るく素敵な未来へと導いてくれるような楽曲でした。2021年アーティスト内田雄馬はどんなところに私たちを連れて行ってくれるのでしょうか?
2020年は出来なかったことがたくさんあった年でした。その中でも改めて、やっぱり生で音楽を共有するという、その熱量とか一体感とか、そいういうものってすごく人の力になっていたんじゃないかなと思います。僕たちもそれによって力をもらっていたし、コミュニケーションによって、僕たちの活動にも意味があると実感できるんですよね。
2021年はコミュニケーションの部分をすごく大切にしたいと思っています。2020年はイベントもなくなり、コミュニケーションを取る場所や方法があまり無かったので、今年はそれを形にして、皆さんと共有したり、コミュニケーションを取れるような機会をもっと作っていけたらいいなと考えています。
インターネットを使えば、世界中の人とコミュニケーションが取れるので、【全世界内田雄馬化計画】がより広がっていくのではないかなと思っています(笑)。なのでよりワールドワイドに、各々いろんな場所で戦っている人たちに向けて、みんなで楽しめるエンターテイメントをお届けするために、一丸となって頑張っていきたいと思っています。
悩んでいたことは悩んでいたと話し、考えが変わったことは素直に変わったと伝える。自分の内外で起こる変化を、時に迷いながらも受け入れ、向き合い、必要な栄養分を吸収する。そんな人としての柔軟さが、アーティスト、そして声優としての内田雄馬の伸び代をぐんぐん増やしているのだと思う。
インタビューの終わりに、「SHAKE!SHAKE!SHAKE!」が持つ明るさによって、良い幕開けになった気がすると話していた。今年の活動がますます楽しみだ。
interview & text: Makiko Kashio