toku 初ソロアルバム『bouquet』記念インタビュー:誰かを想い"贈る"ことの大切さ

GARNiDELiAのサウンドプロデュースだけでなく、LiSAや田村ゆかりなどへの楽曲提供の他、SuperflyやFLOWなど数多くの編曲をてがけてきたtoku。とくPとしてボカロ楽曲も作ってきた彼が、今回tokuとして初のソロアルバム『bouquet』を2021年6月16日にリリースした。
10名のゲストボーカルを迎え制作された楽曲たちは、それぞれに特別な想いを込めアーティストへ贈ったものばかり。どう音楽を贈るか、そこにどんな意味を持たせるか、受け取ったアーティストそして僕らがどう感じるのか。花束を受け取る全ての人のことを想い作られた『bouquet』について取材した。


華なゲストをお迎えして制作された今回のアルバム、全曲を通してどんなアルバムになりましたか?

GARNiDERiAで活動してきた中で、いつかソロアルバムは出したいなとは思っていたんです。『bouquet』の発想を得たのは、自分の身の上の話になるんですけど最近引っ越しまして、家の周りに花屋さんがある街だったんです。花屋さんってお花をセレクトしたりするじゃないですか。花屋さんを作曲家に置き換えると「この人にはこの曲を選ぶ」みたいな、フローリストのようなことをこのアルバムではやってみたいと思ったんです。曲のタイトルは全部花にまつわるものにして、10人の歌う方をお花に見立てたソロアルバムを作りました。

ではタイトルの楽曲名はtokuさんご自身で決められたのですか?

曲によりますね。作詞家さんにおまかせした曲もあれば、内容に関して、作詞家さんに頼む前に「僕としてはこういうテイストでこの花のイメージでやりたいんですけど」とか、試しに自分で半分歌詞書いてみて、でもその歌詞は作詞家さんにはお見せせず、概要のみ。「こういう感じの骨格でやりたいです」という風にオファーさせていただいたりしました。歌う方が歌詞を書いてくださったものに関しては、花を選んでいただいて花にまつわるストーリーで歌詞を作っていただきました。

作詞家さんや歌う方が違う上で、各楽曲で作曲編曲に関して意識されていたことも違うかと思うのですが、1曲ずつどんな楽曲か聞かせてください。

「ずるいよ、桜」feat. 神田沙也加

神田さんには2曲書いて、どっちか選んでくださいとお願いしました。お渡しして1日くらいで2曲とも歌詞をつけて戻していただいて、どちらもすごい素敵な楽曲だったんですが「ずるいよ、桜」の文字面を見た時、言葉のインパクトがすごいなと思って曲にはめて聴いてみるといくつも驚きがあったんです。例えばコードが1個鳴って、その中に音符がたくさんあるのが普通だと思うんですけど、この楽曲ってコード1個に対してメロディを一個乗せるっていう結構贅沢なコード移動を使っていて、そこに歌詞の重さがちゃんとリンクした楽曲になっているなとか。言葉の美しさや音との調和にとても感動したので、こちらの楽曲を選ばせていただきました。コード進行はすごくシンプルなんですけど、神田さんの歌唱力や表現力、テクニカルな部分も含め、すごく女性の気持ちを歌っているというか、「ずるいよ」って女性から言われたら男性陣は「はい」と言わざるを得ないじゃないですか。そういう部分も含めてすごいパワーがある曲なんですよね。文字面からも印象的な楽曲になるだろうなと思ってこのアルバムの1曲目にしました。

この楽曲のスタートは音作りの方から始まったっていたんですね。

そうですね。この楽曲は音が先にあって、神田さんに歌詞をいただいたところで花が開いたという感じです。

花が開いたって素敵ですね!僕も10曲聴かせていただいて、1番好きだったのが「するいよ、桜。」で、「ずるいなぁ」ってなっちゃいました(笑)。

ほんとずるいですよね(笑)。

「或るヒマワリ」feat. 石原夏織

石原夏織さんはライブとか色々観させていただいた経緯があって、明るいPOPSでキラキラした女の子の感じをイメージした元気な楽曲を作りたいなと考えていました。作詞を渡辺翔くんに依頼するにあたって、お互い石原さんとの面識がそんなになかったので、翔くんとも「石原さんってどんな人だろうね」という話をしていました。石原さんの誕生日はいつだろうみたいなところから「8月、夏生まれですね。だから夏って名前に入ってるんですかね、夏の花といえばひまわりですね。」といった感じで、勝手な男2人の話からひまわりの似合う女の子をイメージした楽曲作りが始まりました(笑)。恋愛の楽曲において直接的な表現をあまりされない渡辺翔さんだからこその歌ができたなと思っていて、「好きです」を言わずに「好きかも」みたいな匂わせというか。曲はすごく元気なんだけども、内容としては悩んでいたりする思わせぶりな部分もあるし、受取手が考えさせられる部分をたくさん持っている楽曲ですね。

全曲そうですが、すごく歌われている方にぴったりな楽曲だなと感じました。曲を聴いた瞬間から、石原夏織さんぽく明るくて疾走感のあるような感じで。今まで石原夏織さんとあまりご一緒したことがないのにイメージとぴったりな楽曲になったのは、歌う方のことを思い考え、丁寧に作られたからこそなんだなとお話聞いて改めて感じました。

そうですね。ライブとかは観させていただいていて、音符が多い楽曲が得意な方だっていうのは認識としてあったので、やっぱり元気な曲かなと。

ヒマワリ、ぴったりですね!

「Acacia」feat. 中島愛

僕はアニメ『マクロスF』が大好きで、アニソンを仕事にしたいなと思ったきっかけをくれた方が中島愛さんなんですけど。今に至るまでは普通に編曲家をずっとやっていて、アニソンに携わるきっかけはなかったんです。『マクロスF』でデビューして、可愛い声だけど力強い、歌詞の内容もすごくSFチックな内容のものを歌われていたので、いつか中島さんに楽曲提供ができたらなという想いがずっとありました。イベントでお会いした時にも、僕が中島さんのことを好きで聴いてきていていつかご一緒したいと話していたので、楽曲提供したいという夢が叶い生まれた楽曲がこの「Acacia」です。今回レコーディングをする際、中島さんは『マクロスF』のランカ・リーのイメージがすごくあったので、ランカ・リーが十何年経って歌っているイメージでとお願いさせてもらいました。

「青い薔薇」feat. 鈴木このみ

鈴木さんは本当に年々歌が上手くなっていく方だなと思っています(笑)。色んなイベントでもお会いして、楽曲提供もさせていただいていたので、だから逆に難しいメロを描きたい、意地悪したいみたいなと。でも、レコーディングでサラッと歌われてしまって(笑)。このみさんの楽曲ってすごくテンポの速い楽曲が多いと思うんですけど、逆にちょっとゆっくりというか、ミディアムテンポな楽曲がいいかなと思って作ってはいたんですけど、このみさんの発する声のスピード感はやっぱり早い曲を求めてるのかなっていうのがありました。

鈴木このみさんの良さを引き出すために作られた楽曲なんですね。

そうですね、曲が負けちゃう気がしたので(笑)。この楽曲はMVも撮らせていただいたんですけど、その時はそんなにピアノメインなアレンジはしていなかったんですよ。たまたまその撮影時にグランドピアノが使えるということで、僕がレコーディングではしていないフレーズでガンガン弾いたりしていたら、このみさんに「すごいかっこいいですね」と言っていただいたので、じゃあピアノをもっと入れようとなりました。MVを取った後にピアノを足すって、普通のレコーディングでは有り得ないことですけど、自分のソロだからこそやっていいかなと後から色々と追加していきました(笑)。

「Radiata」feat. atsuko from angela

angelaさんとはGARNiDERiAとしてご飯によく行かせていただいたり交流させていただいて、いつかコラボとかできたらいいねという話はずっとしていたんです。atsukoさんの歌唱力ってやっぱりすごいし、THEビブラートというか、ビブラートの音域の幅がすごい広いのもかっこいいし、であればロックテイストでかっこいい曲がいいんじゃないかなと。「Radiata、彼岸花はブーケにしないよね。だけどatsukoさんとtokuがコラボしたらこういう風になるのかな」と思ってもらえる楽曲になったら一番いいんじゃないかという話もしていて、楽曲を渡して数日で詞が返ってきて、それもヘビーメタル感を滲み出した曲でした。ちょっと変わった楽曲にしたいなと思い変拍子とかを多用したり変化球な楽曲に仕上がりました。僕的には結果こういう形になって、ビブラートの強さだったり声の特徴だったりを表現できる楽曲はこれだろうなと、自分の描いた形になってよかったなと思っています。

atsukoさんってangelaの印象もあって、情熱というか燃え滾るような赤色を想起するので、彼岸花ってすごくぴったりだなと思って。

嬉しいですね。angelaファンとしてもいいコラボができたんじゃないかと思っています。

「Lilium」feat. 井口裕香

井口裕香さんは可愛いキャラクターだったり、元気なラジオとかやられていているんですが、ソロアルバムとかは結構内面性を歌われている楽曲が多かったりするんです。僕はそっちの井口さんの声もすごく好きで(笑)。歌っている井口さんの声がすごくいいなと思っていて、作詞の渡辺翔くんも井口さんに何曲か楽曲提供していた経緯もあるので、井口さんってどういうイメージかなっていう“井口さん像”を男二人で作り上げるっていう気持ち悪い話をしたりしていたんですけど(笑)。結果「百合をテーマにして書いてみてください、色的には白です」となって、楽曲的にも井口さんは結構E D Mがお好きでインスタのストーリーとかにもあげてらっしゃったので「じゃあそういうテイストで作ってみます〜」という感じで作らせていただきました。

「Antheia」feat. 竹達彩奈

竹達さんはキャラクターボイス的に個性があるというか。お花に見立てようとしたんですが「可愛い花はたくさんあるけれど、う〜ん。どれがしっくりくるだろう。花の妖精に見立てて見るのはどうだろう」と思って。妖精さんが歌う楽曲を作りたいとLINDENさんに相談したところ、庭園にいる花の女神“Antheia”というギリシア神話に由来するテーマを頂きました。

唯一お花ではないタイトルになった竹達さんですが、レコーディングの際にお願いしたことなどはありますか?

基本的に素で可愛らしい人なので「そのままの竹達さんで大丈夫です。可愛い曲にしたいのでよろしくお願いします」という風に言っていました。英語のサビのコーラスで重ねる部分もきちんとイメージを理解して収録してくださっていましたね。

竹達さんの可愛らしさが溢れ出ている楽曲だなと思いました!

そうですね。みなさんの好きな竹達さんというイメージかなと思います。

「Coreopsis」feat. やなぎなぎ

やなぎなぎさん自身もエレクトロニカがすごく好きで、出されている作品もエレクトロニカ多いと思うんですけど、そのやなぎなぎさんにあえて僕の方からエレクトロニカを提供したいと思ったんです。3曲くらい僕の方で曲を作って「この中から選んでください、でもこの曲がお好きだと思いますよ」とお渡ししました(笑)。

やなぎなぎさんも楽曲作りが先だったんですね。

そうですね。予想通り「この曲が好きです」とお返事をいただいて(笑)。やなぎなぎさんの作る歌詞っていうのはすごく独特だし、歌い方も相まってすごく美しい世界観だなと思っていて、その世界観とのリンクができたら一番いいんだろうなって思っていたことが全部実現できた作品になりました。最初にお渡ししたデモも「アレンジ上もっと音を足しますか」と聞かれて「足すとしたらコーラスかもしれません」というお話をしたんです。そしたらコーラスを歌ってくれた仮歌みたいなものを沢山いただいて、その中から選んでいきましょうという流れになりました。レコーディングの時は、仮歌の時点でこれでいいんじゃないかと思っていたもののレベルを上げていくことに注力しましたね。THEエレクトロニカアーティストのやなぎなぎさんが僕と一緒にエレクトロニカをやってくださったというのがすごく嬉しかったです。

いい意味で音がシンプルだったのが、やなぎなぎさんの独特な世界観を活かす為だったのかなと素人感的にも伝わってきました。

終始頭から後ろまで全部同じコード進行で一回も変えてないので、そういうところも含めてチャレンジしましたね。

「君影草」feat. 三森すずこ

三森さんとは僕が直接というよりかは、MARiAが当時出ていたワークショップに三森さんも同じワークショップに参加されていたという繋がりがありまして。僕も三森さんのライブを観させていただいたことがあって、結構ポップな楽曲が多くて元気な女の子のイメージの楽曲があったんですけど、僕の中では三森さんが和メロで悲しげな楽曲を歌ったらめっちゃかっこいいんじゃないかとずっと思っていたんです。僕も和メロが大好きなのもあり、今回は和テイストの悲しげで儚げな楽曲を作ろうと楽曲制作がスタートしました。LINDENさんからの提案ですずらんの別名が君影草ということで、このタイトルになりました。「三森すずこさん、すずこさん、すずらんかな」っていう(笑)。

まさかのダジャレから(笑)。

石原さんと同様に夏生まれという情報くらいしか分からないけど、それこそ彼女たちが今まで作品として出されてきたものを聴いたりとか、ライブでやられていることを観て、僕だったらこうしたいなと思ったことを具現化したようなところはありますね。今までの提供楽曲やアニソンの楽曲って、オーダーとか脚本があったりすでにテーマが決まっているじゃないですか。でも今回のソロアルバムは知っている情報の中から楽曲のイメージを生み出して、制作する。作詞家さんのお力も借りつつ僕が全体のテーマは決めなきゃいけないから一生懸命考えたんです(笑)。

「萌芽」feat. 一青窈

スガシカオさんとお食事する機会があって、そこから仲良くさせていただいて音楽談義をするような仲になったんですけど「いつか僕がソロとかを出すことになったらコラボできないですかね」という話を少ししていたので、今回アルバムを出す機会があるので作詞をお願いできないですかと頼んだところ承諾していただいて。ただ、スガさんは曲先でしかやったことないですと仰っていたのですが、その時僕の曲のストックがなくて「制作都合で詞を先にいただけないですか」と甘えてみたところ「全然大丈夫ですよ、やってみます」と言っていただいたんです。

詞を先に書くというスガさんの初挑戦がこの「萌芽」なんですね!

そうですね、詞先では初です。2〜3日で書きあげていただいた詞を見た時、パワーのある詞だなと思って、その夜の内に書き上げてスガさんに戻して「どうですか」と聴いていただいたところすごく気に入ってくださって。誰に歌ってもらいたいかを考えた時に、この楽曲は日本民謡というか、わりと日本オリエンタルみたいな雰囲気があるので、僕的には一青窈さんがいいんじゃないかなと思いました。

曲が完成したタイミングではまだどなたが歌うか決まってなかったんですね。

そうです。「一青窈さん歌っていただきたいと思ってます」という話をスガさんに相談させていただいたら「面白いね」と言っていただけて。ちょうどスガさんが一青窈さんと同じ事務所に所属されていて面識もあるので、スタッフさんにオファーお願いしますという話をしたら快諾していただけたという感じです。一青さんは「EDM歌ったことないんだけど」ってすごく心配されていたんですけど、僕は「一青さんが歌ったら絶対かっこよくなると思うんですよ」とずっと言い続けていました。結局レコーディング前に聴いた一青さんがボイスメモで返してくださった仮歌がどハマりしていて、このまま撮らせてくださいとお願いをしました。奇跡がいっぱい起きた楽曲ですね。

一青窈さんの「萌芽」を最後の曲にした意図ってあるんですか?

この曲は世相反映みたいなこともあると思うし、歌詞から「ここから芽吹いて根を張って進んでいくぞ、新たなスタートを切るぞ」みたいなイメージがあって楽曲のパワーをすごく感じていたので、この曲を締めにしたいというのは最初から決めていました。

tokuさん自身が生み出したメロディやサウンドも含めて、アルバムの中で特に印象に残っている楽曲はありますか?

うーん、全部ですね(笑)。印象が強いということではやっぱり「ずるいよ、桜」なのかなぁ。お話しした通り、コード一つに対して一個のメロディがあるっていうパワーがあったり、歌詞のハマりがすごく心地良いんです。家でほぼほぼ宅録して楽曲の骨格を作って行ったんですけど、外に行ってレコーディングしなくても曲が完成したんです。だから「いけた!」っていうのを強く感じたのが「ずるいよ、桜」っていうのもありますね。もちろんその後弦を入れたりギターを入れたりはしているんですけど、持っている曲のパワーは落ちずに最後までいけたなという風に思っています。

GARNiDERiAでの楽曲制作と今回のソロ活動では楽曲の作り方に違いはありますか?

GARNiDERiAはMARiAとの相談が基本で、曲を作る前にミーティングをして「こういう楽曲を作ろう」というところからスタートするんですけど、個人の活動に関してはそこが全くないので、土台がまず違うかなと思いますね。基本的なレコーディングスタジオに入ってっていう流れは近しいところはあります。でもソロは基本的に自分で全部ジャッジするわけだし、そういうところが大きく違いますね。

ボカロPとしての経験が今回のアルバムの作曲や編曲に活かされたなと感じた部分はありますか?

そうですね、厨二の妄想力みたいなのもはとても役立ったかと(笑)。もちろんパズル方式や組み合わせで作る場合もあるんですけど。基本的には「メロディはこういう感じじゃないか」とか、そういう今まで自分が得てきた経験値の中から流れを作ったりとかするものかなと思っています。ボカロP時代の「初音ミクにこういう格好をさせてこういう曲を作りたいんだよね」っていう発想力は力になっているんだなと。例えば、アルバムをブーケっていうタイトルにするとか、花をテーマにしようってアイディアって、ぶっちゃけ人に語ってたら「えぇ・・・?」ってなることだと思うんですよ(笑)。他にも、自分で同人のCDを作る時に、フォトショップやイラストレーターを使ったりして、自分のできる範囲で何が必要なのか調べて、曲作りからデザインまで全部一人でやったっていう経験があって、それと今回のソロアルバム作りは近しいなと思うんです。もちろんここにはスタッフさんや支えてくださる方が沢山いらっしゃってチームで作っていくわけなんですけども、お仕事を投げる時にその人の気持ちになって「こうやりたいんだけどお願いできませんか」というお話をする時、今までのそういった経験値がすごく活きていたかなと思います。

ありがとうございます。

10曲目の「萌芽」聴かせて頂いて、花言葉が“芽生”や“兆し”ということもあって、この楽曲を聴くと、歌詞も含めてすごく勇気をもらえるし新しく何かに挑戦する時とかにぜひ聴きたいなと感じました。今回ソロ活動を新しく始められましたが、何かその他で最近挑戦されたこととかってありますか?

そうですねぇ、断捨離ですかね〜。引越しして家が広くなった分、色々物が増えるっていう逆効果があったりするじゃないですか。スニーカーが好きで履きもしないのに買いまくったりとか(笑)。断捨離もそうなんですけど、何かきっかけがないとできないことや、やっておいた方がいいことってたくさんあると思うんですよ。ジム行こうとか、歳をとれば健康年齢的に食べられるものも減るから今のうちに食べたいものは食べておこうとか、色々思いつくことはあるんです(笑)。単純に生きる上で必要なものってだんだん限られてくるし。あれ、萌芽からかっこよく繋げるにはどうしたらいいかな(笑)。

無理にかっこよくさせなくても(笑)。確かに今のうちというか、やっておいた方がいいよなと思うことってたくさんありますよね。断捨離の話で言うと、僕結構集めちゃうし捨てられない派で、元カノの物とかももったいないから残しちゃうんですよね(笑)。

男ってそうですよねぇ(笑)。

断捨離ってなかなかできないんですけど、どう踏み切ればいいんですかね。

逆に知りたいところですけど(笑)。あえて言うなら歳をとるたびに“必要なもの”と“必要じゃないもの”そして“必要じゃないけど残しておいていいもの”の3つくらいに分かれると思うんです。これは多分音楽にも言えることじゃないかと思っていて。絶対入っていなきゃいけないドラムの音だとか、これは入ってなくてもいいシンセの音だとか、そういうのが人生の取捨選択に近いものが曲作りの中にもあるかなと思います。GARNiDERiAではめちゃめちゃ音いっぱい詰め込んだりして「音の洪水にしたいんだ!」みたいに思っていたんですけど、今回のソロアルバムでは「もっと音をシンプルにしたい、本当に聞かせたいものってなんだろう」っていうのを見つめ直すことを中心に楽曲を作れました。断捨離、要はその3つのうちのどれなのかを見極めて決めていくってことなのかな(笑)。

ありがとうございます!!

MARiAさんにインタビューさせていただいた時に「うたものがたり」がラブソングだったこともあり恋のアドバイスを頂いたのですが、tokuさんにも少し踏み込んだお話を聞かせてください。
今回お花がテーマということもあり、それぞれのアーティストさんに楽曲という名のお花をプレゼントしたと思うのですが、女性にはどんなプレゼントをあげたらいいと思いますか?

え〜〜やばいな(笑)。

お花って女性にあげたことはあるんですか?

あります、あります。でもそれってアーティストに限るなって思ったんですね、割と(笑)。あ、でも、普段からお部屋にお花を飾ってらっしゃる方もいらっしゃったりするので、そういうところは見なきゃいけないっていうのはあったりするんですけど、大概はお花をもらうタイミングってお祝いだったり卒業とかじゃないですか。そういうタイミングでのお花っていうのはいろんな意味を持つんだろうなと思うんですよ。何もない部屋にも花が一輪あればなんだか華やかになるし、花って人間の心を揺さぶるものなんだろうなと。だから大事なのは、花をあげるどうこうよりも“花をどう持たせるか”だと思います。例えば、切り花とかってすぐ萎れちゃうじゃないですか。だから「花瓶に薬を入れて少しもちます」と伝えてプレゼントするのか「霧吹きで吹いた方が長持ちする」とか、そういう知識を一緒にあげたいんですよね。花をあげるときに「これスプレーをシュシュってやるとすごく持ちがいいよ」とか、プラスアルファの言葉の方がプレゼントになる気がしていて。花に限らず、ものをあげる時はあげる時の言葉が一番重要なんじゃないかなと思っています。

目から鱗です、めちゃくちゃ勉強になります。もうひとつお聞きしたいんですけど、僕含め勇気が出ずにお花をあげられない人もいると思うんですよ。そういった時にもう一歩踏み出すためにはどうしたら良いでしょうか。

そういうのライバルが減っていいなと思ってるんですけどね(笑)。そうですね、でもさっき言ったようなことだと思うんです。あげるだけじゃ一歩進まないし「あ、誕生日ですね。以上」じゃつまらなくて「それを身につけてどこか行きましょうよ」とプラスアルファで伝えるとか。お誘いみたいなものがプレゼントだと思ったりするところもあるので。勇気ないやつはダメだと思うんですよ、本当に(笑)。一歩踏み出すのも自分だと思うので、どうしたいんだろうって相手の気持ちをもっと考えてあげたらいいんじゃないでしょうか。

猛省です。自分に足りないところがわかりました(笑)。

ボカロPの頃からのファンの方やGARNiDELiAのファン、今回のソロ活動をきっかけにtokuさんを知りファンになった方、今ファンの方々に向けてメッセージをお願いします。

長年の生業として裏方に徹するっていうのはやってきたことだったので、こうやって改めて自分の名義で楽曲を出させていただくことは僕にとってもすごい記念だなと思ってるし、その楽曲に触れていただくことによって今回参加いただいたみなさんの知っているシンガーの方の新たな魅力を見つけていただけたらなと思います。今後ここからGARNiDERiAを知っていただく方もいらっしゃると思うんですけど、僕というアーティスト、クリエイターの名刺代わりになればいいなと思ってます。ぜひ聴いていただければと思います!


Interview & Text : Riu Yanagida, Aoi Kawahara

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