【ライヴレポート】PUNPEE の「The Journey into Mystery Tour」@赤坂 BLITZ を振り返

10月18日の水曜日。今日は、いつも予定のない華金より楽しみがある。板橋区のダメ兄貴こと、PUNPEE のライヴ「The Journey into Mystery Tour」だ。場所は赤坂 BLITZ で、19時開演。会社の定時は19時だから、今日だけは申し訳なさそうなふりをして、18時半に早退させてもらい、赤坂に向かった。到着したのは18時55分くらい。ギリチョンセーフ。赤坂 BLITZ に到着して驚いたのは、人の多さ。8年前に渋谷のディスクユニオンで見た、PSG のライヴでは、こんなに人がいなかったなとか思い出した。

 

そうそう。いまさら説明不要だと思うけど、PUNPEE について少しだけ。2002年から音楽活動を開始して、2009年に弟の 5lack、同級生の GAPPER の3人によるヒップホップユニット PSG としてアルバム「David」をリリース。このアルバムが大きな話題となった。それ以来、トラックメーカー、プロデューサー、アメコミヘッズ、ラッパーとして、多方面で活躍をしてきた PUNPEE。有名どころだと、加山雄三の名曲をリミックスした「お嫁においで2015」や、「水曜日のダウンタウン」のテーマ曲、宇多田ヒカルの「30代はほどほど。」に出演。アメコミの DC コミックス「LOBO」の翻訳監修したのが、すごいって思った(笑)。そして今年、宇多田ヒカルの2002年の楽曲「光」をリミックスした「光 -Ray Of Hope MIX-」が itunes 全米チャート2位にランクインや、フジロックのホワイトステージに出演。フジロックでは本人も思わず「人すご!」と言ってしまうほどの人で埋め尽くされていた。いつも限定 CD などでヘッズを困らせてきた PUNPEE が、ようやくファーストソロアルバム「MODERN TIMES」をリリース。10年待ったわ、って人も多いはず。今日は、このアルバムのリリースライヴだ。グッズ販売、1階のスタンディングはすごい人で混み合っていた。今日はラッキーなことにゲストで入れてもらって、2階席から見ていた。ちょうど持ってたインスタントカメラでちょこっと撮ったりしたので、ライヴのことを少しだけ振り返ろうかなと思う。写真は見づらいかもしれないけど(笑)。

 

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ライヴはアルバム「MODERN TIMES」の1曲目である「2057」が映像とともに始まった。この曲は40年後の2057年の未来の PUNPEE が、40年前の自分は勇敢でまっすぐな男だったと語る。現代では新譜だけど、40年後の未来にとってはクラシック。PUNPEE 自身も未来の自分と手を組んだのは裏ワザと語っている(笑)。そして、2曲目の「Lovely Man」で PUNPEE が登場。未来では勇敢な男だったと語っているが、この曲ではトイレで吐いてるところから始まり、現実は全然ダメなやつじゃんっていう流れ。まさに PUNPEE らしい(笑)。曲名に Lovely と入ってるからか、途中、小沢健二の名曲「ラブリー」に乗せて、観客を楽しませた。ちなみに、この曲の子供の声は Rhymester 、Mummy-D のお子さんらしい(笑)

 

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そして、「Happy Meal」から、名曲「Renaissance」。また、アルバムに入っていない「Mileage Club」を tofubeats の「水星」を途中で混ぜてのパフォーマンス。観客はアガらないわけがない。その流れで、みんな大好き「お嫁においで2015」を途中、Mary J. Blige の「Real Love」にライムを乗せて観客を楽しませ、A$AP P(エイサップピー)がビート提供した「Scenario(Film)」につなげた。このあと、すこし休憩がてらの「Interval」。これは40年後の未来のPUNPEEが、伝説のラッパーについて語る。その未来で伝説とされている ISSUGI が登場し「Pride」から「Coffee Break」につなぎ、すごい盛り上がりとなった。PUNPEE にとって ISSUGI は背筋をピンとしてくれる先輩、ISSUGI にとって PUNPEE は毎回マスタリングを任せるほど信頼している後輩と、お互いのことを話していた。

 

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ISSUGI が去ったあと、「P.U.N.P.(Communication)」、「P.U.M.P ~駄菓子売ってハスリン~」からの「Stray Bullets」。この曲で、5lack、GAPPER が登場し、PSG 勢揃いでの「かみさま」、「愛してます」をパフォーマンスし、観客を歓喜させた。PUNPEE が「おれら3人がずっと続けたら、アルフィーみたいになるのかな」と話してたのが印象的だった。

 

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ライヴも後半。今回のアルバム「MODERN TIMES」は曲に feat.~ みたいのがない。誰が客演なのか聴くまで分からないのが、このアルバムの楽しいところ。驚いたのは「夢のつづき」。まさか、いつもバック DJ をしている原島宙芳(ハラシマミチヨシ)がラップするなんて想像もしなかった(笑)。原島宙芳は過去に「まぐま」というイベントを主催し、そこで15分に1度テキーラを飲まなきゃいけないテキーラ・リーグというものをやっていて。これに PUNPEE が参加したら、急性アルコール中毒で運ばれたらしい(笑)。そのとき実は死んでいて、いま見ているのは”夢のつづき”なんじゃないかという話をフジロックで原島宙芳として。それに対し、原島宙芳が「だとしたら、おれら良いとこまで来たよな」と。それが「夢のつづき」という曲。そんなエピソードを話しつつ、この曲をパフォーマンスした。昔から仲良くしてもらってる地元の先輩だと PUNPEE が紹介したら、原島宙芳は「先輩じゃなくて友達だよ」と話し、ふたりの関係性の深さみたいのが、ほんの少しだけ感じることができた。

 

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この流れからの、去年、1番聴いたであろう「夜を使いはたして」をパフォーマンス。そして、このあとチャイム音が鳴り「Bitch Planet」。アルバムで唯一”おれをアルバムに入れてください”と言ってきたという RAU DEF が登場。もちろん「FREEZE!!!」もパフォーマンスし、観客を歓喜させた。RAU DEF が去ったあと、PUNPEE が「あんなに華があるやつは、あまりいないと思うんだよね」と話し、尊敬している存在であることを話していた。

 

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PUNPEE は、アルバム「MODERN TIMES」について「DL(デヴラージ)さんは天まで飛ばそうって言っていたけど、おれは自分なりに宇宙に飛ばしたつもり」と話し、ラストっぽい流れを作り「タイムマシーンにのって」。このライヴには、PUNPEE の両親が来ていたらしく、この曲のなかの「願わくばディスコで親父と母さんが会った日に行きたいね」というバックトゥザフューチャーのオマージュともとれる、このリリックを聴いたら嬉しいだろうなって思った。そして、「Oldies」をパフォーマンスし、40年後の PUNPEE が「自分がなにになったのかは分からん、ただ憧れたものはたしかにあった」と話す映像とともに去って行った。蛍の光が流れ、ライヴは終了と思わせてからのアンコール。PUNPEE が登場し「お隣さんより凡人」と、たまたま水曜日で隣が TBS だったこともあり、「水曜日のダウンタウン」のテーマ曲をパフォーマンスした。そして、「ドラゴンボールの魔人ブウ編みたいに、ちょっとだけやらせてもらいます」と言って、Buddha Brand の「Don’t TEST DA MASTER」、ZEEBRA の「Parteechecka」のアンオフィシャルカバーから、Rhymester の「Kids In The Park」につなげた。そのあと、まさかの「Chrono Trigger」をパフォーマンスし、ISSUGI と GAPPER が登場。5lack もお酒片手に現れ、観客とともに乗っていた。

 

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さすがにもう終わりかと思ってたところで「SUMMIT Theme Song」が流れ、SIMILAB、THE OTOGIBANASHI’S が登場し、まさかの SUMMIT 集合に会場は熱狂。SIMILAB の MARIA からヴァースを蹴り「SUMMIT Theme Song」をパフォーマンスした。CreativeDrugStore の JUBEE と VaVa もいて、観客とともに乗っていた。そして、曲の最後に THE OTOGIBANASHI’S の BIM が PUNPEE に花束を持ってきて「おめでとうございます!」と渡し、それに対してPUNPEEが「なんだよ、泣かしにきやがって」と笑いながら話した。SIMILAB の OMSB が「いや、リアルに泣きそうに見えました(笑)」と話し、会場が、なんだかエモい雰囲気に包まれていた。そして、本当にラストの曲。アルバムでもラストの「Hero」をパフォーマンスした。アルバム「MODERN TIMES」を映画の作品に例えると、「Hero」は5分ちょいあって、映画のエンドロールっぽい曲だなと思う。今日のライヴは2時間くらいあって、1本の超大作の映画を観たような気分になった。

 

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「MODERN TIMES」の CD を手にした人は分かると思うが、ジャケへのこだわり、ブックレットが映画のパンフレットかのような仕上がり。PUNPEE の好きな SF 映画やアメコミ要素がたくさん盛り込まれた作品だ。この作品のすべての要素を知ってるのは、たぶん PUNPEE 本人だけだろう。そして、まわりの友達に向けて作ったような親近感もある。けど、間違いなく超大作な1枚。ライヴで 5lack が「友達にいい音楽を勧めたら、ヒップホップはもっと良くなるかもしれないっすよね」と言っていたのを、ふと思い出した。PUNPEE の言葉を借りると「しかしまぁ、大事なのは今後である」。

 


Credits

Photo:Toru Miyamoto

Text:Toru Miyamoto