「無駄だなんて腐るほど言われてきた」
シンガーソングライターであるHeartbeatの楽曲「FIRE」のなかの歌詞。彼女の名前はHeartbeatと書いてハートビートではなく、ハービーだ。この名前について、こう話す。
「たしか長崎チャンポン食べてるときかな。わたしの歌を聴いてくれた人がどうなってほしいかって話してたときに、ドキドキしたり、ワクワクしてほしいなって。それで、Heartbeatと書いてハービーになりました」
Heartbeatの楽曲を聴いたことある人は分かると思うが、彼女の歌声とストレートな歌詞、中毒性のあるトラックが合い、何度もリピートして聴いてしまう。そんな彼女は音楽活動とは別にYouTubeでゲーム実況をしている。始めた当初は「FIRE」の歌詞にもあるとおり、無駄だって言われてきたはずだ。しかし、Heartbeatはまわりの言葉を気にせずにやり続けた。その結果、ゲーム実況から楽曲が派生したり、ゲーム実況を見ている人たちがHeartbeatの楽曲に興味を持ったり。いままで交わることのなかった音楽活動とゲーム実況を繋ぎ、新たなスタイルを確立したシンガーだと思う。
今日はそんなHeartbeatに話を聞いた。そもそも歌手になるきっかけはなんだったんだろう。
「中学生のとき、ケーブルテレビが見れるようになったんです。そのとき初めて、MTVで海外のR&Bを見て衝撃を受けました。いままで見たことない世界で超かっこいいじゃんって。そこからブラックミュージックが大好きになりましたね。自然に歌うことが好きになって、お母さんが勝手にオーディション出したちゃったんです(笑)。それがテレビ東京のオーディション番組、ASAYANで。そこでグランプリをいただきました。上京して、本名で2年くらい活動して、成人してからクラブでahhcoという名前で活動しました。クラブで活動してるときに出会ったのが、餓鬼レンジャーでした。当時、餓鬼レンジャーのGPさんにトラックを作ってもらってました。そして、2011年に当時のレーベルさんと再スタートを兼ねて、アーティスト名を変えようってなり、Heartbeatになりました。いまは自ら事務所などを辞めて、自主レーベル『soulbase』を立ち上げ制作しています」
ゲーム実況はいつから始めたのか。
「ゲーム実況は3年前とかかな。昔から音楽と同時進行でゲームも大好きで。ゲームは小学生に上がる前からやってました。わたしがお母さんのお腹のなかにいるときに、お父さんがファミコンのスーパーマリオブラザーズをやってたみたいで。お母さんはすごい嫌だったって言ってました(笑)。お父さんの影響からか、わたしもすごいゲームにハマってしまい、バイオハザードとか夢中になってやってましたね。歌手になるって決めてからは一切やってなかったです。けど3年前にFPS(ファースト・パーソン・シューティング)というジャンルのゲームに出会ってしまい、わたしもやりたい!って思って、もう一回スタートさせちゃったんです。それでYouTubeでの生放送『夜な夜なFPS』が始まりました。FPSは画面自体が自分の視点になってるゲームで、ちょっと難しいんです。ゲーム性がすごくおもしろくて、奥深くて。敵を倒せばいいんですけど、ただ向かっていけばいいわけではない。戦略とかが大事なんです。それが生きていくことにリンクして、楽しくてやりたくなっちゃう。わたしの楽曲『FIRE』は、FPSがきっかけで生まれました。MVも、FPSの世界観から膨らませて出来上がった作品なんです」
なるほど。ゲームも音楽と同じくらい好きだったのか。歌っているときのHeartbeatはかっこ良く、ゲーム実況をしているときは歌ってるときと真逆な感じ(笑)。このギャップもHeartbeatの魅力のひとつ。けど、どちらのHeartbeatも共通して言えるのは活き活きしている。本当に好きなことをやって楽しんでいることが分かる。
FPSがきっかけで生まれた「FIRE」はAWAのリピート率ランキングで1位に輝いたことがある楽曲。この楽曲はYouTubeチャンネル登録者数200万人を超えるゲーム実況チーム「兄者弟者」(2BRO.)のエンディングテーマに起用された。また、現在は去年の11月にリリースした「WHAT ABOUT YOU」がエンディングテーマに使われている。そうそう。去年の12月にはHeartbeatはAWA公式アカウントにプレイリスト「ドラマティック日常。」を作った。プレイリストを作ってみてどうだったか。
「AWAでプレイリスト作ってめっちゃ楽しかったです。プチDJになった気分で。選曲はもちろん、曲順もこだわりました。ツイッターでもみんな反応してくれて、実際に聴いてくれた方もたくさんいたみたいで嬉しかったですね。ツイッター始めたときは、”いいね” して満足する人ばかりなんじゃないかと思ってたんですが、ちゃんと興味を持って足を運んでくれるのを、最近はすごく感じていて。ゲーム実況から私を知ってくれた人たちが、音楽のこと書いても最初は無反応だったんですけど、この人が言うんだったら聴いてみようかなって感じで広がってくれてる感じがします。すごくやりがいがあるし、嬉しいですよね」
まさに音楽活動とゲーム実況をうまく繋いでいる。話はすこし変わるが、HeartbeatにとってAWAのような音楽ストリーミングサービスは、どう考えてるのか気になった。
「いままでは良い曲ないかな、新譜ないかなとか、YouTubeなどで検索したりしてました。それって好きなジャンルじゃないと広がらないじゃないですか。でも、AWAって自分の好きな曲が入ってるプレイリストをたまたま見つけたときに、違うジャンルの曲がプレイリストに入ったりして。自分だけだったら出会えなかった曲に出会えるのが良いなって思いました。CDを買ってもらうことが、もちろん良いんですけど、こういう曲があるよって知ってもらうことが先だと思うんですよね。だから、すごく良いと思う。まったく知らないアーティストに触れることができて、気になったら自分で調べて。それで、CDがほしかったら買えばいいし。そういう時代になってる気がします。ゲーム実況から入ったリスナーさんが、Hearbeatが歌ってるんだったらR&B聴いてみようとか、そういう流れができるんじゃないのかな」
たしかに、そういう流れになってきてると思う。Heartbeatは新しくなる時代に対して、柔軟に向き合い、今後も独自のやり方でおもしろいことを仕掛けてくれるはず。最後に今後の展望を聞いてみた。
「今年は、いままで作ったことのないフルアルバムを出したいなって思っていて。去年の年末からトラックとか集め始めてます」
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Credits
Text:Toru Miyamoto
Photo:Toru Miyamoto