「ボサノバ」という言葉は知っていても、どんなジャンルなのか詳しく説明できない方は多いでしょう。簡単にいえば、ブラジル音楽の一つです。ゆったりした音楽からしばしばジャズと混合されますが、いくつか違いがあります。ジャズは「スウィング」という言葉があるように、ビートやリズムが主役の音楽です。一方、ボサノバは同じビートであることが多く、リズムより歌やメロディ、コードなどが主役なのです。クラシックギターの音色にささやくようなウィスパーボイスが重なる、というのが基本的なボサノバの特徴。この記事では、そんなボサノバの有名アーティストとおすすめの音楽を洋楽・邦楽に分けて紹介します。
ボサノバの有名アーティスト
Chega de Saudade / João Gilberto
ボサノバを聴くにあたってまず知っておいてほしいのが、João Gilberto(ジョアン・ジルベルト)です。João Gilbertoはボサノバの基礎を作り出し、「ボサノバの父」と称されています。2019年に惜しまれながらも亡くなりましたが、さまざまな名曲を生み出しました。「Chega de Saudade」もそのうちの一つです。こちらは「想いあふれて」という放題で有名な、ボサノバのクラシック的ナンバー。
https://s.awa.fm/track/2fcad1f5182c314bda46/
Garota de Ipanema / Antonio Carlos Jobim
Antonio Carlos JobimはJoão Gilbertoとともにボサノバの誕生に関わった人物です。João Gilberto同様、日本でも聴き馴染みのある数々の名曲を作り出しています。「Garota de Ipanema」は、そんなAntonio Carlos Jobimの代表作。日本では「イパネマの娘」として名前が知れ渡っています。イパネマとは、世界的に有名なブラジルにある美しいビーチのこと。トロピカルジュースを飲みながらこの曲を聴けば、遠い異国の地を旅行している気分になれます。
https://s.awa.fm/track/1d080945cca7f20b5b07/
Esperança Perdida / João Donato
João Donato(ジョアン・ドナート)は、ボサノバの創世記から今までを支えてきたブラジルの有名ピアニストです。そのプレイスタイルはとにかく独特で、「鬼才」「天才」と呼ばれることも少なくありません。この曲は、もともとは上で紹介したAntonio Carlos Jobimによるもの。ただ、Antonio Carlos Jobimの原曲よりJoão Donatoによるカバーのほうが、ボサノバの世界ではよく知られています。とにかく自由で型にはまらないJoão Donatoのピアノをお楽しみください。
https://s.awa.fm/track/b5dc9713a27ac2171e70/
Mas Que Nada / Sergio Mendes
ボサノバに影響を受けたアーティストでも特に有名なのが、Sergio Mendesでしょう。「Mas Que Nada」はSergio Mendesの中でも特に人気の高い曲です。日本でもテレビ番組のBGMなどで使われており、聴いたことがある方も多いはず。しっとりとした曲調が多いボサノバですが、「Mas Que Nada」はテンポが速くノリのいい曲です。この曲は、2006年にアメリカのヒップホップグループBlack Eyed Peasがフューチャリングしました。原曲との違いを楽しむのもおもしろいですよ。
https://s.awa.fm/track/fec5238f6129c2aea928/
Berimbau / Baden Powell
Baden Powellは、ボサノバ創世記に活躍したボサノバギターの名手です。Baden Powellの魅力は、そのギタープレイにあります。本来、ボサノバはゆったりとしたメロディを楽しむものです。しかし、Baden Powellは優雅さの中に、フラメンコのような激しいギターサウンドが織り込まれるのです。そのため緊張と緩和が繰り返され、聴く人を遠くの世界に連れていきます。「Berimbau」はBaden Powellが作曲したギターのインストゥルメンタルで、彼のギターテクニックとメロディセンスが存分に楽しめますよ。
https://s.awa.fm/track/2a4c6383a847659b2922/
おすすめのボサノバソングランキング:洋楽
Para Machuchar Meu Coracao / スタン・ゲッツ/ジョアン・ジルベルト/アントニオ・カルロス・ジョビン
「Para Machuchar Meu Coracao」は、ボサノバファンから人気のある伝説的アルバム『ゲッツ/ジルベルト』に収められています。このアルバムは、サックス奏者のスタン・ゲッツとボサノバ創始者であるジョアン・ジルベルトの連名。世界的にも評価され、グラミー賞も受賞しています。この曲は、スタン・ゲッツがサックスを演奏しジョアン・ジルベルトがポルトガル語でヴォーカルを務めています。『ゲッツ/ジルベルト』にはボサノバのスタンダードナンバーが集められていますので、この曲を気に入ったらぜひ最初から聴いてみてください。
https://s.awa.fm/track/302dd2372abd82719060/
Corcovado / Antonio Carlos Jobim
「Corcovado」は、上でも紹介したボサノバ創始者の一人Antonio Carlos Jobimの曲です。Corcovadoとは、ブラジルのリオデジャネイロにある美しい丘のこと。30メートルを超える巨大なキリスト像が建てられていることでも有名です。この曲を聴くと、Corcovadoに流れる静かな時間や和やかな風を感じられます。慌ただしい毎日を送っていて、落ち着ける時間が欲しい方におすすめの一曲です。
https://s.awa.fm/track/b3f1fca3e63b28099498/
Soul Bossa Nova / Quincy Jones
Quincy Jonesは、「ミュージック界のレジェンド」とも称される偉大な音楽家です。「Soul Bossa Nova」は、そんなQuincy Jonesがタイトルどおりボサノバの要素を取り入れた曲。日本では、NIKEのCMに起用され一躍人気を博しました。今でも、テレビ番組やコマーシャルでよく使われるため、知っている方も多いでしょう。この曲はシンプルなリフレインが繰り返されるアップテンポなナンバーで、思わず体が動いてしまいます。ボサノバをゆったりと楽しむのも素敵ですが、気分を盛り上げたいときに聴くのもおすすめですよ。
https://s.awa.fm/track/9be81c23a0dd823e8382/
Agua De Beber feat. Antonio Carlos Jobim / Astrud Gilberto
Astrud Gilbertoはボサノバ創世記に活躍したボサノバ歌手です。ボサノバ創始者のJoão Gilbertoと結婚したことで話題になりました。こちらは、Antonio Carlos Jobimが作曲した「Agua De Beber」をAstrud Gilbertoが歌ったもの。「Agua De Beber」とは、日本語で「おいしい水」という意味です。Astrud Gilbertoの美しい歌声は、まさに透き通った天然水のよう。彼女の美しい歌声に思わずうっとりしてしまう方もいるでしょう。
https://s.awa.fm/track/fec221866121c8aea928/
Wave / Antonio Carlos Jobim
Antonio Carlos Jobimの「Wave」は、ボサノバファンの間でも非常に知名度の高い曲です。この記事ではすでに何度もAntonio Carlos Jobimを紹介していますが、いかに彼がボサノバの発展に寄与しているかわかりますよね。「Wave」も、Antonio Carlos Jobimらしい美しい旋律が特徴的な曲です。ぜひ目を閉じて、砂浜に打ち寄せられるやさしい波をイメージしてください。気持ちが穏やかになってリラックスできますよ。
https://s.awa.fm/track/356679075dd20f76e238/
おすすめのボサノバソングランキング:邦楽
ツキノコグマ / 犬塚彩子
犬塚彩子は愛知県出身のボサノバ・ミュージシャンです。国内でボサノバのスタンダードナンバーをカバーしたり、オリジナルソングをリリースしたりしています。現在はボサノバにとどまらない独自の音楽を追求している魅力的なアーティストでもあります。「ツキノコグマ」は、「日本語で本格的なボサノバを聴きたい」という方におすすめです。ボサノバ・ミュージシャンとしてしっかりした基礎のある演奏なので、ボサノバ初心者の方も聴きやすいですよ。
https://s.awa.fm/track/a4be9ebb1fba03916a01/
Blue Fashion Street / スターダスト☆レビュー
スターダスト☆レビューは日本の4人組ロックバンドです。「今夜だけきっと」「木蘭の涙」などが大ヒットを記録したため、名前を知っている方も多いでしょう。「Blue Fashion Street」は、そんなスターダスト☆レビューによるボサノバ調のポップソングです。「今夜だけきっと」「木蘭の涙」などにみられる卓越したメロディセンスと、包み込んでくれるようなうっとりした歌声を楽しんでください。失恋ソングでもあるので、一人で感傷に浸りたいときにもおすすめです。
https://s.awa.fm/track/1d0f004ec9a7f30b5b07/
Something Stupid / 細野晴臣
細野晴臣は、日本のロックバンド「はっぴいえんど」のメンバーです。1973年からはソロとしても活動しており、「恋は桃色」など数多くの名曲をリリースしました。フォークや実験音楽のイメージが強い細野晴臣ですが、ボサノバ調の曲も歌っています。それが「Something Stupid」です。もともとはフランク・シナトラとナンシー・シナトラによるデュエットソングでした。それを細野晴臣がボサノバテイストにカバーしています。細野晴臣の貫禄ある歌声とギターの音色に耳を傾けてみましょう。
https://s.awa.fm/track/b5be4d7b87b8f080a916/
青空の月 / 原田知世
歌手・女優としても名高い原田知世も、ボサノバ調の曲を歌っています。「青空の月」は、そんな原田知世が作詞を務めたミドルテンポの楽曲。この曲は、忙しい一日の終わりに聴くのがおすすめです。「明日もやさしい1日がやってきますように」という歌詞は、日々の疲れやイライラを取り払ってくれるようです。ボサノバはポルトガル語で歌われることが多いですが、日本語のもつやさしい響きや美しい語感にぴったりマッチします。
https://s.awa.fm/track/36a74c0b21c02fd90874/
明るい表通りで / 小野リサ
活躍する偉大な日本人ボサノバ・ミュージシャンとして忘れてはいけないのが、小野リサです。1999年にはアルバム『ドリーム』が20万枚を超える大ヒットを記録。2013年には、ブラジル政府から「リオ・ブランコ国家勲章」を与えられました。このように、小野リサは日本とブラジルの架け橋的存在も担っています。「明るい表通りで」は、そんな小野リサの中でも人気の一曲。日本では、ネスカフェのCMソングとしても起用されました。