勉強にぐっと集中したいとき、音楽を聴きながら取り組む方法があります。ただ、どんな音楽でも効果的かというと、そうではなさそうです。この記事では、勉強のお供にぴったりな、集中力を高める音楽を「クラシック」「環境音楽」「カフェで聴くようなジャズ」の種類に分けてご紹介します。同時に、音楽を聴きながら勉強をすることのメリットや注意点も押さえておきましょう。
集中できるクラシック音楽
タイスの瞑想曲 / 小林美樹/田村響
ヴァイオリンの調べが美しい「タイスの瞑想曲」。第14回ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで第2位を受賞した小林美樹と、ロン・ティボー国際コンクールにて弱冠20歳ながら第1位を獲得した田村響によるピアノのハーモニーが、心を静めて目の前の世界に没頭させてくれます。普段聴きなじみがないという方もいるかもしれませんが、集中力とこうしたクラシック音楽は深く関係しています。実はクラシック音楽には、脳やホルモンを活性化したり、自律神経のバランスを整えたりする効果があると証明されているのです。
https://s.awa.fm/track/2fcbdcf71f23314bda46/
Etude for the Left Hand in A flat major Op.36 / by James Rhodes
作曲家フェリックス・ブルーメンフェルトによる「左手のための練習曲」。ジェームズ・ロードスの繊細な演奏が、流れるようでいて着実に音を響かせていきます。聴き始めると音数の多い曲だと感じるかもしれません。しかし集中力を高める楽曲条件の1つに、抑揚が少なく、テンポがよいというものがあります。主旋律をどこか無意識に耳で追いながらも、そちらに意識をもっていかれすぎない、絶妙な調べが勉強への集中力を高めてくれるでしょう。
https://s.awa.fm/track/229e9eedcf8e06d85405/
幸福の硬貨 / 福山雅治
映画『マチネの終わりに』で福山雅治さんが演奏されていたことで、記憶に新しいという方もいるかもしれません。クラシックギターのあたたかい音色が、日々なにかと忙しい心を安定させてくれます。ギター演奏によるヒーリングミュージックCDは多くリリースされていて、リラックスした状態から集中状態へ自然に移れるメリットがあります。
https://s.awa.fm/track/ab36720aef5b8a59a869/
愛の夢(リスト) / 辻井伸行
ピアニスト・辻井伸行さんによる「愛の夢」。フランツ・リスト作の名曲です。独特の優雅な主題は、聴いたことがある人も多いのではないでしょうか。1988年生まれの辻井さんは、2009年にアメリカでのヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人初の優勝を果たして以来、国際的なピアニストとして活躍しています。数多くの国でリサイタルやオーケストラとの共演をおこなう彼のあゆみを想いながら勉強に取り組むと、心強い味方を得たような気持ちになれそうです。
https://s.awa.fm/track/c41e7637a12df8747736/
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35(第1楽章 Allegro moderato) / 三浦文彰
世界最難関ともいわれるハノーファー国際コンクールにおいて、史上最年少の16歳で優勝を飾ったヴァイオリニスト、三浦文彰さん。NHK大河ドラマ『真田丸』のテーマ音楽を演奏したことも話題になりました。このヴァイオリン協奏曲では、中低音を渋く響かせながら登場し、曲の盛り上がりとともにその華やかな音色を発揮していきます。さまざまな楽器が主張する曲よりも、ヴァイオリンの音色に集中できる協奏曲の方が適度に脳を刺激し、集中力を保つ助けとなってくれるでしょう。
https://s.awa.fm/track/ab337b0be95b8f59a869/
集中できる環境音楽・ヒーリングミュージック
A Stream With Bright Fish (2005 Digital Remaster) / ハロルド・バッド/ブライアン・イーノ
音楽を聴きながら勉強する際の注意点は「曲の内容に気をとられないこと」です。ここではクラシック音楽と同様、歌詞がなく、自分の意識と音楽が溶けあうような環境音楽、ヒーリングミュージックをご紹介します。最初のハロルド・バッドは、1936年にアメリカで生まれた音楽家。作曲家ジョン・ケージから影響を受け、この神秘的な「A Stream With Bright Fish」を含むアルバム『The Pearl』を発表しました。静かな夜、誰にも邪魔をされずに集中して取り組みたい勉強時間にぴったりのBGMとなるでしょう。ちなみに彼に影響を与えたジョン・ケージは、全奏者が1音も演奏せずに終わる衝撃的な楽曲「4分33秒」を発表したことで人々を驚かせました。
https://s.awa.fm/track/52d99021fa0203604c34/
Weightless Part 1 / Marconi Union
マルコーニ・ユニオンのアルバム『Weightless』には、「Weightless」という楽曲がPart1から6まで収録されています。彼らの音楽は環境音楽の分野で活躍したブライアン・イーノが提唱したとされる「アンビエント」だともいわれます。宇宙空間にいるような浮遊感のあるサウンドは、まさにアンビエントの言葉どおり、周囲に溶け込んだ音のようです。深く思考することが必要なタイプの勉強におすすめしたい1曲。
https://s.awa.fm/track/3ab20e88a990d0262085/
ア・グランドベル・トラジディ/ クリスチャン・フェネス feat. 坂本龍一
オーストリアのギタリスト、作曲家、エレクトロニックミュージシャンであるクリスチャン・フェネスと坂本龍一さんのコラボ楽曲。2人は「fennesz+sakamoto」というユニットを組んでアルバムもリリースしており、互いの高い音楽性を発揮しています。約20分と長いですが、あえてこの時間と区切りを決めて聴きながら勉強するのもよさそうです。
https://s.awa.fm/track/9d1789a7e08cb56d3499/
キオクの森 / RELAX WORLD
ヒーリングアーティストのRELAX WORLDが手がけるアルバム『記憶力向上のためのヒーリングピアノ』に収録されている「キオクの森」。ピアノの透き通った音が、朝起きてすぐ飲む水のように、全神経にいきわたります。この曲以外にも、勉強のお供にしたくなるようなタイトルの曲がたくさん収録されているので、ぜひ聴いてみてくださいね。
https://s.awa.fm/track/b7a3b50e1eb59d868432/
自分を信じる / RELAX WORLD
こちらも「キオクの森」と同アルバムのなかにある楽曲。一定のパターンを刻むピアノの音に、時計の針がゆっくり時を刻んでいるような印象を受けます。明確な目標をもって「今日はここまでやる」と決めて進めるような勉強のBGMに、ぜひ聴いてみてください。「自分を信じる」というタイトルもやる気を高めてくれますね。
https://s.awa.fm/track/704923d143d8073c4450/
カフェにいるようなジャズミュージック
Unreel / Re-Trick
勉強するときに、ほどよく人の気配があると集中できるという方もいるでしょう。ジャズは街中のカフェでもよく流れているので、1人で勉強していても、その雰囲気を感じられそうです。まず2005年に結成されたジャズ・トリオ、Re-Trick。デビューアルバム『Colors of Agenda』は2008年タワーレコードジャズ部門日本人2位、総合5位というセールスを記録しました。軽快なサウンドは、勉強のほかにジョギングのお供にも向いているかもしれません。ハミングも入っているので、小さめの音量でかけて、じっくり考えるよりは軽く流していく復習時間のBGMとするのがおすすめです。
https://s.awa.fm/track/cc34a81bf89143a98c12/
Tokyo Tribal Sacrifice / Schroeder-Headz
渡辺シュンスケによるポスト・ジャズ・プロジェクト、シュローダー・ヘッズ。2010年のデビューアルバム『NEWDAYS』は、遊べる本屋をコンセプトにした「VILLAGE VANGUARD(ヴィレッジヴァンガード)」を中心にロングランヒットを記録しています。ピアノ、ベース、ドラムのアコースティックトリオサウンドと電子プログラミングを融合させていて、聴き心地の楽しさが特徴です。こちらも小さめの音量で流せば、うっすらリズムを感じながらすっきりとした気分で勉強に取り組めるでしょう。
https://s.awa.fm/track/decc9564b68e37faef02/
The Cave of Rebirth / Tigran Hamasyan
ティグラン・ハマシアンは、ジャズ・クラシック両方の教育を受けたアルメニア生まれのミュージシャンです。アルメニアのフォークやロックなど多種多様な音楽から影響を受けて、ジャズの範疇を超えた独特の世界を作り出しています。奇抜というよりは、軽快なメロディの中にどこか懐かしい響きも混ざっているのが魅力ではないでしょうか。勉強の休憩前にもうひと踏ん張りしたいとき、あるいは集中力が切れてきたときに聴きたい1曲です。
https://s.awa.fm/track/98709e48763acc805b51/
Tarova / Snarky Puppy
2004年にデビューして以来、ジャズ界で大絶賛されているスナーキー・パピー。10人を超えるメンバーで構成されたグループですが、全員が「ジャズ学においては全米1位」といわれる北テキサス大学出身というエリート・ミュージシャンです。ライブにも自信をもっており、年間200公演をこなすほど。かっこよさと優雅さを兼ね備えた彼らのジャズをBGMに勉強に取り組むと、集中できるばかりか気持ちに余裕が生まれそうです。
https://s.awa.fm/track/52df9324fe0f0f604c34/
あしたのワルツ / H ZETTRIO
2014年、スイスで開催される世界3大ジャズ・フェスティバル『モントルー・ジャズ・フェスティバル』への出演をきっかけに活動を活発化したエイチ・ゼットリオ。ピアノの「H ZETT M(エイチ・ゼット・エム)」は無重力奏法と形容されるパフォーマンスで人気を誇るなど、トリオと並行して個人でも活動を広げています。爽やかな風がとおる窓辺で勉強しているような気分になれそうです。