ジャズは、音楽のなかでも敷居が高いようなイメージがあるかもしれません。「興味はあるけど難しくてよくわからない」と考える方も多いでしょう。ジャズを楽しむうえでおすすめなのが、「とりあえず聴いてみる」というもの。たしかにジャズは、専門的な言葉や知識などを用いて語られることが少なくありません。しかし、「なんかいいな」「好きな雰囲気かも」といった感覚でジャズの世界に入るのも悪いことではないのです。この記事では、そんなジャズ初心者のために、巨匠とされるアーティストや、入門にぴったりな名曲を紹介します。
ジャズを知るうえで欠かせないアーティスト
So What / Miles Davis
ジャズに興味を持った人に聴いてほしいアーティストは、トランペットプレイヤーのMiles Davisです。Miles Davis抜きでジャズは語れない、といわれるほど。「ジャズ界のピカソ」「ジャズの帝王」と称され、「ジャズ史上最も重要な人物数人のうちの一人」とも考えられています。モダンジャズの可能性を広げた人物で、現在に受け継がれるジャズのスタイルの大半は「Miles Davisが作り上げた」とされているのです。「So What」は、そんなMiles Davisの金字塔とされるアルバム『Kind of Blue』の1曲目を飾るナンバー。Miles Davisの美しいトランペットに酔いしれてください。
https://s.awa.fm/track/19e71d17e9d581719354/
My Favorite Things / John Coltrane
ジャズを語る上で欠かせないサックスプレイヤーがJohn Coltraneです。「ジャズ史上最大のカリスマ」とも称され、のちの現代音楽にもつながる「フリージャズ」と呼ばれる分野を切り開きました。「My Favorite Things」は、そんなJohn Coltraneを躍進させるきっかけになった曲です。この曲は、もともとミュージカル映画『サウンド・ミュージック』の挿入曲でした。それをジャズで表現するという、今までの常識にとらわれない挑戦的な試みを打ち出したのです。このように、John Coltraneはジャズの精神性をより拡大させたプレイヤーの一人だといえるでしょう。
https://s.awa.fm/track/704f22d343da053c4450/
Someday My Prince Will Come / Bill Evans
ジャズ初心者へ向けて次に紹介するのは、トランペット、サックスと続いてジャズ・ピアノのBill Evansです。「ジャズ・ピアノの詩人」「ジャズ・ピアノ界における真のパイオニア」などと称され、ジャズ界に大きな影響を及ぼしました。「Someday My Prince Will Come」は、そんな彼のジャズプレイがふんだんに盛り込まれた曲です。もともとディズニー映画『白雪姫』の挿入曲だったのですが、Bill Evansがジャズ風に解釈しカバーしました。Bill Evansの叙情的で挑戦的なピアノサウンドに耳を澄ましてみてください。
https://s.awa.fm/track/95f84c29e71ce138ed09/
As Time Goes By / Billie Holiday
ジャズ・シンガーとして忘れてはいけないのが、Billie Holidayです。「レディ・デイ」の愛称で親しまれる彼女は、「ジャズ史上最高の歌手の一人」として紹介されることも少なくありません。即興性の強い歌唱は、「究極のジャズボーカル」とも称されています。そんなBillie Holidayの名曲として知られるのが「As Time Goes By」です。もともとは、ミュージカル用の曲として1931年に作られました。その曲を、Billie Holidayが圧倒的な歌唱力と表現力でカバーしたのです。力強い歌声と、しなやかささえ感じるビブラートに注目して聴いてみてください。
https://s.awa.fm/track/52dd9821ff020f604c34/
St. Thomas / Sonny Rollins
Sonny Rollinsは、John Coltraneに負けず劣らずの実力で人気を博したジャズサックス奏者です。「テナーサックスの真の巨人」「モダン・ジャズ最後の巨人」などと呼ばれ、2000年以降も精力的に活動を続けていました。「St. Thomas」は、そんなSonny Rollinsの踊るようなサックスが耳に残るジャズの名曲です。こちらは1957年にリリースしたアルバム『Saxophone Colossus』に収められています。この曲は、今日でもジャズのスタンダードナンバーとして、数多くのプレイヤーに演奏されていますよ。
https://s.awa.fm/track/8bdfab64098039d4dc23/
まずはこれを聴くべき!ジャズの名曲5選:インスト
5位 Blue Train(Remastered 2003) / John Coltrane
「Blue Train」は、数あるJohn Coltrane作品のなかでも人気の高い一曲です。この曲は、同じタイトルでもあるアルバム『Blue Train』の1曲目を飾るナンバー。アルバム『Blue Train』は、名門ジャズレーベルである「ブルー・ノート」において、John Coltraneが唯一リーダーを務めた作品です。ジャズファンのなかで、名作が並ぶとされる、いわゆるレコード番号「1,500番台」のうちの一つですね。イントロのフレーズから、ぎゅっと心を掴まされます。ジャズの入門におすすめしたいこの曲を「いいな」と感じたら、ぜひアルバムを通しで聴いてみてください。
https://s.awa.fm/track/9b1bb9f8280488188f84/
4位 Moanin' / Art Blakey
Art Blakeyは、「モダン・ジャズ最大のドラマー」と称される偉大なドラマーです。この曲は、作曲家でありピアニストでもあるBobby Timmonsが、Art Blakeyに提供した楽曲。日本でも知名度があり、ジャズ漫画『坂道のアポロン』にも出てきましたし、NHK『美の壺』のオープニングでも使われました。ただ、「全体を聴いたことがある」という方は少ないでしょう。終始ファンキーで楽しげな雰囲気なので、ジャズ初心者でも入りやすい曲ですよ。
https://s.awa.fm/track/12de2ab635fde80c7093/
3位 Moonlight Serenade / Glenn Miller
Glenn Millerは、「スウィングの王様」とも称されるトロンボーン奏者です。「Moonlight Serenade」は、そんなGlenn Millerの代表曲。この曲は、1966年にシンガーのFrank Sinatraがカバーしたことによって人気が高まりました。味のある渋い歌声が魅力的なFrank Sinatra版も素敵ですが、ぜひ原曲であるGlenn Miller版も聴いてみてください。ムーディーな曲なので、大切な人と一緒に聴くと、お互いの距離がより近づきますよ。
https://s.awa.fm/track/5fe098f61f3cf2bc7361/
2位 Take the "A" Train / Duke Ellington & His Famous Orchestra
この曲は、日本では「A列車で行こう」という邦題で知られています。演奏を手掛けたのは、ジャズ界の偉人Duke Ellington。Stevie Wonderの名曲「Sir Duke」は、まさにこのDuke Ellingtonからひらめきを得た曲です。踊るようなピアノが耳に馴染みやすく、イントロからアウトロまで楽しい気分を保ったまま聴けます。日本でもさまざまなアーティストにカバーされ、同じタイトルでゲームまで作られました。
https://s.awa.fm/track/cccd48195dd49b660c33/
1位 Sing, Sing, Sing / Benny Goodman and His Orchestra
Benny Goodmanは、「キング・オブ・スウィング」として知られるスウィング・ジャズの代表的存在です。「Sing, Sing, Sing」は、もともと「スウィング・ジャズの立役者」とも言われるLouis Primaの作曲。それをBenny Goodman and His Orchestraがカバーし、現在も楽団の代表曲になっています。ジャズをテーマにした映画『スウィングガールズ』でこの曲を知った方も多いでしょう。ぜひBenny Goodman and His Orchestraによる壮大なスウィングを楽しんでみてください。
https://s.awa.fm/track/7f1bb6af010bd5f7de96/
まずはこれを聴くべき!ジャズの名曲5選:ボーカル
5位 Fly Me To The Moon / Frank Sinatra
Frank Sinatraは、アメリカを代表するエンターテイナーでありシンガーです。「Fly Me To The Moon」はもともとジャズの定番ナンバーとして有名でしたが、Frank Sinatraがカバーしたことによりさらに知名度が増しました。日本では、『新世紀エヴァンゲリオン』のエンディングテーマとして知られていますよね。Frank Sinatraの類まれなる表現力と歌唱力が光る一曲です。月を見ながらこの曲を聴くと、心地よい浮遊感に包まれますよ。
https://s.awa.fm/track/decc9460bb8037faef02/
4位 L-O-V-E / Nat King Cole
Nat King Coleは、アフリカ系アメリカ人のソロシンガーです。「L-O-V-E」は、そんなNat King Coleの代表曲と言えるナンバー。この曲は、英語以外にも日本語、スペイン語、フランス語でレコーディングされています。日本でも美空ひばりや鈴木雅之など、数多くの一流ミュージシャンにカバーされました。そのため、「聴いたことがある」と感じる方も多く、ジャズ入門編におすすめ。愛する人や大切な人を思い浮かべながら聴いてみてくださいね。
https://s.awa.fm/track/decc9464b08c37faef02/
3位 What A Wonderful World / Louis Armstrong
「サッチモ」の愛称で親しまれるLouis Armstrongは、「世紀のエンターテイナー」として歴史的な評価を得ています。もともとはトランペッターでしたが、ハスキーでパワフルな歌い方をするシンガーとしても有名です。Louis Armstrongの名前を世に知らしめたナンバーといえば、この「What A Wonderful World」でしょう。日本においても、録音された1968年から50年以上経つ今でも、CMやテレビ番組などで使われています。すべてを包み込んでくれそうなLouis Armstrongの歌声を聴くと、嫌なことがあっても前向きになれますよ。
https://s.awa.fm/track/9f9fafd2093b8b6d0927/
2位 Moon River / Sarah Vaughan
Sarah Vaughanは超越的なヴォーカルスキルで名を馳せたジャズ・シンガーです。「3大女性モダン・ジャズ・シンガー」の一人としても知られていますよ。彼女のヴォーカルスキルを楽しむ上でおすすめなのが、「Moon River」です。この曲は、1961年に公開された映画『ティファニーで朝食を』の主題歌。劇中ではAudrey Hepburnが歌ったことで人気を博しました。シンプルで短いこの曲を、Sarah Vaughanはダイナミックに歌い上げています。映画を観て、Audrey Hepburnとの違いを楽しむのもおもしろいでしょう。
https://s.awa.fm/track/6c690ea5207344056d78/
1位 I Can't Stop Loving You (Remastered) / Ray Charles
Ray Charlesは盲目でありながら、「ソウル/R&Bの父」としてすばらしい楽曲を数多く生み出した歴史的ミュージシャンです。Ray Charlesでおすすめしたいのが、「I Can't Stop Loving You」。この曲は、アメリカのカントリーミュージシャンであるDon Gibsonによって作られました。原曲はカントリー調ですが、Ray Charlesによって美しいジャズのナンバーとしてカバーされています。Ray Charlesの哀愁たっぷりな歌声と、どこか懐かしさの感じるメロディを楽しんでください。