1996年9月頃、立命館大学(京都市北区)の音楽サークル『ロック・コミューン』にて結成。古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンド。バンド名の由来は結成当時の京都市営地下鉄の案内板の矢印が「くるり」となっていたことから。1998年のメジャーデビュー以来、多種多様な音楽を世に送り出し続ける個性派バンドくるり。ゆるさの中に、芯がある。胸を突く歌詞と、多彩な音楽性。アルバムことに音楽性を変えながらも、耳に馴染むそのサウンドの裏には、たくさんの工夫や技術が隠されています。今回は世代を超えて多くの人から愛され続けているくるりの人気曲をご紹介します!
琥珀色の街、上海蟹の朝
2016年7月にEP盤でリリースされたシングル。結成20周年を意識して制作された楽曲ですが、本作で初めてラップに挑戦したくるり。新しいくるりの音楽性であったにも関わらず、彼らの人気曲“東京”や“ロックンロール”と並ぶ、くるり屈指の名曲になり、多くの人から愛された1曲。キャッチーなサビのリフレイン、岸田繁のラップ、ゲストヴォーカルとして参加しているUCARY&THE VALENTINEともハーモニーなど、間違いなくこれはくるりのニューアンセム。本曲についてメンバーの岸田繁(Vo・Gt)は、「一回ギャグになってもいいから作ってみようと思って、歌詞も書いて、歌ってみたら、ホンマにオモロかって、そのうちそれ聴かせたいなって思うんですけど(笑)。とにかくこれだと誰かのコピーみたいになってまうし、これで歌詞に「木漏れ日」とか入ってたら、「プププ、アホか」って感じになるんで(笑)、とりあえず、今歌いたいことっていうか、今歌う感じの歌詞を無理やりにでも書いていったときに、これはラップの方がいいかもってなって、実際やってみたら、何となく合うかなって思ったんですよね。」と語っています。
https://s.awa.fm/track/1f353171de1096911390
ばらの花
メロディメーカー岸田繁の才能が炸裂している1曲で、キラキラした電子音と、切ないメロディラインが心に響く楽曲。2001年1月にリリースされた7枚目のシングルでドラマ『オレンジデイズ』の挿入歌に抜擢されました。サビにはSUPERCARのフルカワミキが参加しています。またレイ・ハラカミがリミックスしたほか、奥田民生や矢野顕子、南佳孝らによってカヴァーされるなどミュージシャンからも人気が高い曲です。歌詞の最後の《ジンジャーエール買って飲んだ/こんな味だったっけな》というラインは「五感を絶妙に歌にする男」岸田の真骨頂で、後続のソングライターたちに多大な影響を与えています。
https://s.awa.fm/track/17e9b95ce1014ab71703
ソングライン
2018年9月にリリースされた12枚目のアルバム『ソングライン』の表題曲。もともとは別のバンドのために作ったという本曲、くるりとして奏でる用のアレンジに試行錯誤したとのこと。岸田は本曲について「結果、"ソングライン"のレコーディングでは厚塗りを繰り返して、最終的に100トラックを超えたんです。途中で止めておこうかって思ってたところもあったんですけど、やるところまでやってまおうかって。それでもサウンドが崩れなかった。ただ、全部の音は聞こえない状態だったので、定位を工夫したミックスにしたんです。だから、ドラムは全部左からしか聞こえないとか、ミックスは面白いものになりましたね。参照点がThe Beatlesとかの時代の手法と言うか。」「結果、新しいものになったと言うか。古い音しか使ってないけど、新しいものになった感覚があります。」語っています。原点回帰を意識して制作された本曲、ぜひお楽しみください!
https://s.awa.fm/track/653ab3ab20d11f855f30
東京
1998年10月にリリースされたデビューシングル。一人暮らしで東京にいる人には絶対心に響くと言われる1曲で、くるりのマスターピース。胸にスッと入り込んで情感を膨らませるキャッチーさを兼ね備えた珠玉の上京ソング。ボーカルの岸田繁曰く「初めて素直な気持ちが書けた」とコメントしており、自身も気に入ってる楽曲のひとつだそう。映画「ソラニン」や映画「モテキ」など、劇中歌として使われています。
https://s.awa.fm/track/98739f49703dc9805b51
ワンダーフォーゲル
2000年10月にリリースされた6枚目のシングル。打ち込みのサウンドが爽快で心地よく、文学的な歌詞が魅力のひとつです。リリース時に公開されたMVは製作費0円でハンディカムで撮影されたものです。これには秘話があり、実は元々別のMVが完成していたのですが、メンバーが気に入らないということで、急遽撮り直したものが公開されました。元々のMVは2010年リリースのアルバム『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』の特典に収録されています。ライブではバンドサウンドにアレンジされたものがよく演奏され、またナンバーガールもワンダーフォーゲルをカバーしてライブで歌うなど、アーティストからも愛されている1曲です。
https://s.awa.fm/track/7f1bb3a9030bd1f7de96
ワールズエンド・スーパーノヴァ
2002年3月リリースの4thアルバム『THE WORLD IS MINE』のリードシングルで、3rd~4thの「くるり・テクノ/ハウス/クラブ接近期」の代表的な1曲。ハウスなどのダンスミュージックの要素を全面に押し出した作品で、リズムもメロディもリリックも、抑制の効いたクール。ストレートな感情の吐露を思わせる歌詞が印象的。サウンドの洗練、言葉の洗練、打ち込みサウンドがが中毒性のが高く、今もなおファンから愛されて続けています。
https://s.awa.fm/track/79adc4bb51b002e0a992
ハイウェイ
2003年11月にリリースされた12枚目のシングル。映画「ジョゼと虎と魚たち」の主題歌です。「僕が旅に出る理由は だいたい100個くらいあって」とはじまる歌い出しから、後半には「僕には旅に出る理由なんて何ひとつない」という展開に。何かをするときに、ついつい理由を考えすぎてしまうことが多いですが、もっと素直に行動してみようと思わされる1曲。また、「ジョゼと虎と魚たち」の主演でもある妻夫木聡が出演しているMVにもご注目を!妻夫木聡の姿は子供にしか見えていないなど、タイアップした映画の内容と雰囲気を似せたショートムービーのような細やかな演出がなされているのが特徴です!
https://s.awa.fm/track/52d99020ff0c00604c34
奇跡
2011年6月にワンコインシングル(販売価格500円)としてリリースされた曲。平凡な日常にこそある幸せを見つめ、願い、祈るという心の動きが美しく刻まれています。是枝裕和監督の映画『奇跡』の主題歌であり、大鵬薬品工業「チオビタドリンク」のCMソングにもなっています。岸田繁曰く「ここ何年かでいちばんええ曲を書いたつもり」とコメントしています。MVは映画『奇跡』の監督である是枝裕和が、映画内の子供達の映像を再編集して作成したもので、本編では使用されていないカットも盛り込まれているので是非チェックしてみてください!
https://s.awa.fm/track/c41e7734a527f9747736
春風
くるりのラブソング。アコースティックで穏やかなメロディと文学的な歌詞でせつなくも幸福な風景を描いている、"くるり"ならでは愛の唄。岸田繁が自身の結婚式でこの曲を歌ったというエピソードも。2000年4月にリリースされたくるりの5枚目のシングル。オリジナルアルバムには収録されておらず、ベストアルバム『ベスト オブ くるり -TOWER OF MUSIC LOVER-』に初めて収録されています。ベスト盤に収録されたバージョンは「春風(Alternative)」と題され、その名の通りシングルバージョンとは異なったバージョンで、高山徹が編集(ミックス)したものになっています。
https://s.awa.fm/track/a25d93672b4f6b3ed217
Remember me
2013年10月リリースされた26枚目、メジャーデビュー15周年を記念したシングル。NHKの人気番組「ファミリーヒストリー」のテーマソングとして書き下ろされたものです。アコースティックギターを基調としたアンサンブルに、トランペットやバイオリンなどが見事に溶け込み、ノスタルジックな1曲。また、「泣ける!」と話題になった本曲のMVは、端地美鈴 and CHIMASKIがディレクションを担当。白いスケッチブックに鉛筆で街の風景を描き、それを消しゴムで消しては、また書くことを繰り返し、消しかすを砂絵のように使用して人物や列車などを描くという、素朴かつユニークな手法を使ったアニメーションで、変わりゆく街の風景の中、少年と少女が成長し、大人になって家庭を築くというストーリーになっています。ぜひチェックしてみてください!
https://s.awa.fm/track/5a84af955280a5c8f114
忘れないように
2018年6月リリースされた32枚目のシングルですが、カセットテープによるリリースで話題になりました。くるりとしてデビューする前に歌ったことがありながら、リリースには至っていない楽曲を思い出しながら制作されたという本曲について、「当時から今に至るまで、くるりはこの手のポップでキャッチー、グルーヴィーな曲を演奏することは殆どありません。何故こんな曲想になったのかも謎です。90年代半ばのBEN FOLDS FIVEとか、70年代のJACKSON FIVEとか、ファイブ付いてるだけやん、って並びではありますが、モータウンっぽい曲調…マーヴィン・ゲイのような黒っぽいリズムはくるりにおいてとても珍しくもあります。跳ねたリズム、ピアノ、グルーヴィーなドラムやベース、オルガン、パーカッション、みたいな、いわゆるポップスのテンプレートのような曲想です。」「歌詞のテーマは、そのままですが「忘れないようにすること」と「忘れ去られないようにすること」そして「揺らがないようにすること」についてです」と公式ブログで綴っています。気づいたら口ずさみたくなる、キャッチ―なメロディが印象的な1曲。
https://s.awa.fm/track/462b61fabdeb4e94a580
ロックンロール
2004年リリース、13枚目のシングル。アルバム『アンテナ』のリードナンバー。軽快な8ビートとギターを重ねたサウンドに、サビの美しく爽やかなメロディとコーラスワークが印象的な1曲で、ドラマーであったクリストファー・マグワイアが参加したシングル。くるりは文学的な歌詞を書くことが多いですが、本曲はストレートな表現の歌詞となっています。 「ロックンロールハ、スキデスカ~!?」2003年の「百鬼夜行」イン・Zepp Tokyoで、新ドラマー・クリストファー・マグワイアが発した、余りにもベタなMC。それが本曲のタイトルとなったそうです。
https://s.awa.fm/track/1c18dd7aadcd76383377
さよならリグレット
ピアノの美しい音色と土岐麻子のコーラスが美しく「さよならリグレット」。シンプルな構成で、くるりと土岐麻子の歌声が心に沁みます。江口洋介・森高千里夫妻出演のハウスジャワカレーCMソングとして書き下ろされ、岸田渾身の淡くて切ない大人のラブソングです。ノスタルジーな響きが心地よく、懐かしい大切な思い出、とこれから歩む道への不安や寂しさを乗り越える勇気を綴った1曲。2008年9月にリリースされたくるりの20枚目のシングル。
https://s.awa.fm/track/9602e258bfc099104a53
言葉はさんかく こころは四角(Single Ver.)
くるりの19枚目のシングル。2007年7月25日に発表題曲は映画『天然コケッコー』の主題歌。キリンジの堀込高樹も、『堀込高樹(KIRINJI)を揺さぶった6つの歌詞』として、本曲を選出し、その言葉の力を絶賛しています。また2009年10月にリリースされたくるり初のトリビュート盤「くるり鶏びゅ~と」にて、本曲を木村カエラがカバー。木村カメラは「言葉はさんかく こころは四角」は、すばらしい曲なのでイメージを崩さないように頑張ってみました。くるり、大好き!」とコメントしています。
https://s.awa.fm/track/2a7c7da2f4e66262f704
その線は水平線
2018年2月にリリースされた31枚目のシングル。あたたかな岸田繁(Vo・G)の歌声に、広大な海の景色と自分の心情を交差させたような歌詞、風のように透き通った美しいコーラスワークが特徴的な1曲。スローテンポでシンプルでありながら、何度でも聴きたくなる中毒性の高い楽曲。このシングルの表題曲は実はかなり前にできており、何度かレコーディングを試みたものの完成はせず、陽の目を見ないままになっていたという。その理由について岸田は「この曲がいったい何なのか、よく分からなかったんだと思う」と語っている。しかし最近「歌うべき『中身』など、基本的には持っていない」ということに自覚的になり、「この曲だけではないが、自分自身から溢れ出た、あるいは滲み出たものに関して、これは自分自身の鏡に映った姿でもある、と思うようになった」と自身のブログで語っています。『海街diary』『海よりもまだ深く』の助監督を担当した遠藤薫が手掛けたMVには、モデルのSUMIREが出演しています。是非チェックしてみてください!
https://s.awa.fm/track/bd20ebcc9a989c8f6d35
シャツを洗えば
岸田繁と松任谷由実(ユーミン)の美しく心地よいハーモニーが聴ける1曲。GAPの40周年キャンペーン企画「GAP 40TH ANNIVERSARY HOLIDAY」の一環として、くるりと松任谷由実がコラボレーションしたシングル。史上初の雑誌サイズCDという形態でリリースされました。本曲について松任谷由実は『シャツを洗えば』を共作する際のエピソードとして「岸田君が"歌詞の書き方については徹底的に直された"と語っているのですが、あえて「徹底的に」したのには理由がありました。それは、せっかくのコラボなんだから、くるりと私でがっぷり四つに組んで曲作りをしたかったから。半分冗談ですが、岸田君を一人で放っておくと、電車の歌ばかり作ってしまいそうだし。」「くるりの二人とそんな時間を過ごす中で、私が改めて気づいた彼らの魅力は、独特の浮遊感でした。それは特に、コードのルート音に留まらない演奏をする、佐藤君のメロディアスなベースに負うところが大きい。そこに、ヤスリのかかっていない無垢な岸田君のボーカルとギターが重なると、何ともいえない"あの雰囲気"が生まれるのだと思います。」と語っています。
https://s.awa.fm/track/17e9ba51e20d40b71703
ラヴぃ
“リップスライムとくるり”名義で発売したRIP SLYMEとくるりのコラボレーションシングル。2006年7月リリース。くるりが作成したトラックにRIPSLYMEのキャッチーなラップがのるサマーチューン。RIP SLYMEが京都にくるりのライブを観に行った際の打ち上げの席で、「こんなのやろうか」と言ったのが曲作りのきっかけだそう。ちなみに、後日くるりのスタジオに行った時には、既に「ラヴぃ」と「Juice」のデモテープが作ってあったという。また、その席でRYO-Zが岸田繁に「今回はストレートにラブソングをやってみたいと思っている」という旨の話をした際に、岸田が「ふーん、ラヴぃヤツね」と言ったのがタイトルの由来とのこと。また本作とは逆の名義、“くるりとリップスライム”で「Juice」が同日発売されました。「ラヴぃ」のジャケットと「Juice」のジャケットを横に並べて配置すると一枚の絵になるという仕掛けも!